大切なわが家を一番上で守ってくれている「屋根」。
そのメンテナンス方法として、近年主流となりつつある「カバー工法」とは、いったいどんな工事なのでしょうか。
屋根の専門業者、大友さんに話を聞きました。
お話を聞いたのは…

公開 2023/08/24(最終更新 2023/08/24)

屋根の上から屋根材をかぶせるメリット
屋根のカバー工法とは別名・重ね張り工法ともいわれ、現在の屋根の上に防水シートを貼り、新しい屋根素材をかぶせる(カバーする)工法です。
既存の屋根を解体・撤去・処分する手間が不要なので工事期間が短く、廃材がほとんど出ない、時代に即したエコな工法です。
【施工前】
【施工後】

屋根が二重になるため防水性・断熱性・遮熱性も高まります。
二重になると聞くと「屋根全体が重たくなって、耐震性に不安が生じてしまうのでは」と思われるかもしれませんが、例えばスーパーガルテクト(アイジー工業)という金属製屋根材は、断熱材と一体型で、さびや色あせ、穴開きに対する長期保証も付いた丈夫さを誇りながら、厚さはたったの0.4ミリです(写真A)。
機会があれば、専門業者などに見本材を触らせてもらってみてください。
その軽さに驚かれると思います。
こうした屋根材であれば既存の屋根への負荷も少なく、軽くて扱いやすいので職人もスピーディーに作業でき、工期を大幅に短縮できます。
「そんなに軽いと台風などの強風に飛ばされてしまわないか」という疑問も浮かぶかもしれませんが、屋根材は「はぜ」の部分を引っかけてつなぎます(写真B)。

突風によって屋根材が剥がれたり、吹き飛ばされたりする可能性は限りなく低い構造です。
参考までに弊社のこれまでのカバー工法の実績では、台風・突風による屋根材の剥がれや吹き飛びといった被害は1軒も出ていません。
デメリットから学ぶ 屋根のメンテナンス
デメリットは、施工可能なのがスレート屋根やトタン屋根に限られること。
残念ながら瓦屋根には施工することができません。
また、すでに下地や屋根裏に影響が出ているような劣化の激しい屋根にもカバー工法は施工できません。
そもそも、屋根や外壁のメンテナンスは、建物の内部に水を侵入させないために行います。
水分によって木材が腐敗すると、建物の劣化を早め、そうなってから元の状態を取り戻すとなると、工事も大がかりで費用も桁違いです。
「影響」が出る前にメンテナンスをして、良い状態をキープし続けることが結果的にランニングコストを抑えることにつながります。
住み続けるための必要経費として貯蓄を
屋根や外壁のメンテナンスにかかる費用はどうしても高額ですが、建った瞬間から紫外線を浴び続け、雨風にさらされ続ける家の劣化は不可避で、手を掛けないと住めなくなってしまいます。
メンテナンスの出費は「必要経費」と考えて、予算を確保しておくのがお勧めです。
相場を知るために、複数の会社から相見積もりを取るようにしましょう。
お住まいの地域で信頼できる業者を見つけておけば、困った時に迅速に対応してもらえる安心感もありますね。
費用を抑えるこつとしては、屋根と外壁どちらも足場を組むので、一度に済ませられると単純に足場代の節約になります。
同じタイミングで経年劣化を迎えられるように、屋根と外壁の素材のグレードをそろえておくといいでしょう。
屋根カバー工法~まとめ~
【メリット】
○工事期間が短い
○防水性、断熱性、遮熱性UP
○建物への負担が少ない
○剝がれにくく吹き飛びにくい構造
【デメリット】
●瓦屋根や劣化の激しい屋根には施工不可
屋根メンテナンスのポイント
★「必要経費」として予算の確保を
★相見積もりを取って相場を知ろう
★地元で信頼できる業者を見つけておこう
★屋根と外壁同時メンテナンスで足場代を節約
取材協力:屋根屋