街の喧騒から遠ざかり、南仏の小さな村にたどり着いたかのような、趣あるカフェ「パトリ」。千葉県船橋市出身・在住の水原直美さんが手がける世界観はあたたかみがあふれ、ここでは時間もゆったり流れるよう。野菜をたっぷり使用したプレートランチと、丁寧につくられた家庭的で華やかなスイーツ、そして夕刻に居酒屋へと早変わりする不思議な魅力。盛りだくさんでお届けします!

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公開 2023/09/02(最終更新 2024/02/29)

雪道

雪道

高知県出身、船橋市在住。元英語講師。ロック好き。読書好き。月村了衛、笹沢左保、有栖川有栖が好きです。残りの人生の目標は、ピアノとドイツ語をならうこと。好きな言葉は「ご縁」。

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店名はフランス語で「心のふるさと」

県立薬園台高校の校舎を望む道沿いに「Caféと雑貨とPatrie(パトリ)」はあります。

穏やかな陽の光が降り注ぎ、やわらかな風が吹き抜ける……

そんな常しえのたたずまいを感じさせるカフェへ、ようこそ。

Caféと雑貨とPatrie  パトリ

店主の水原直美さんは、船橋市出身・在住。

お花が好きで、リースなどの作品を手がける水原さんにはハンドメイド作家の友人も多く「作品を発表したり、お茶とお菓子を囲んでおしゃべりしたりする場があるといいね、という声を多数受けて」、2016年、カウンター席のみの小さなカフェ「koya」を始めます。

日替わりランチと、からだ思いのやさしいおやつ、週1回のフラワーマルシェなどが人気を集めたkoyaですが、オープンから5年後の2021年6月に閉店。

それから約1年後の2022年の春、改装を経て生まれ変わったお店が「パトリ」です。

Caféと雑貨とPatrie  パトリ
店内には2人掛けテーブルが3卓と、カウンターに4席。ベビーカーも入れます

「パトリ」はフランス語で「祖国・母国」「心のふるさと」などの意味があります。

「まるで『帰って来る』ように訪れ、ほっこり、落ち着いて過ごしていただける場所でありたい」

水原さんは、「おかえりなさい」と声をかける姿が似合う、包容力のある穏やかな笑顔でそう話します。

野菜をたくさん食べてほしい。プレートランチは滋味と色彩を楽しむ逸品

それでは早速、人気のプレートランチをご紹介しましょう。

カフェパトリ プレートランチ
この日のメニューは、鶏の竜田揚げ、雑穀ご飯、きんぴらごぼう、蒸しなすの胡麻よごし、新玉ねぎとトマトのマリネ、人参ラぺ、紫キャベツのマリネ、グリーンサラダ、豆腐のスープ(写真提供・Caféと雑貨とPatrie)

6月のある日のプレートランチ(980円)です。

奇をてらわない、家庭的で親しみのあるメニューが彩り豊かに並びます。

カフェパトリ プレートランチ
カオマンガイ、ゴボウの唐揚げ、人参のソムタム、紫キャベツとセロリのマリネ、エンサイ炒め、トマトバジルサラダ、青ウリの浅漬け。写真にはありませんが、大根と玉ねぎのスープが付いています(写真提供・Caféと雑貨とPatrie)

こちらは7月に提供されたメニュー。

タイの国民料理の一つ、カオマンガイ(鶏の出汁の炊き込みご飯に茹で鶏を添えたもの)を中心に、タイ風サラダのソムタムがエスニック風のアクセントになり、多彩な味の組み合わせを楽しめる一皿に仕上がっています。

アジア料理が好き、と話す水原さん。

今後も、自慢のカオマンガイやガパオライスがメニューに登場するとのことなので、ぜひ味わってみてくださいね。

ランチボックスを実食!当日完売する「くにぱん」も一食の価値あり

パトリのランチは、テイクアウトもできます。

カフェパトリ ランチボックス テイクアウトランチ
ランチボックス900円

ふたを開けて「どれから食べようかなぁ」と、わくわく!

雨の中を20分ほど持ち歩き、その後いただきましたが、フリットのさっくりと香ばしい歯触りがすばらしく、いち主婦として「さすがはプロの仕事」と、思わずうなりました。

素材の味を生かすやわらかな酸味とやさしい甘み、めりはりのある塩味、変化を楽しめる食感。

それぞれの良さが際立つ、絶妙なバランスを実現した一皿であると感じました。

そして、ランチボックスの中央で存在感を放つ「くにぱん」。

カフェパトリ くにぱん
じっくりとかみしめて味わいたい「くにぱん」(250円)。売切れ必至です。お早めに!

国産小麦粉や岩塩など、厳選した素材のみを使って焼き上げた「カラダがよろこぶ」おいしいパンは、水原さんのご友人の手づくり。

ランチのパンとして提供されるほか、単品でテイクアウトもできるので、販売日時などの詳細をインスタグラムでチェックしてくださいね。

パトリのキッチン発・シンプルで彩りよく、誠実なおいしさを

カフェパトリ キッチン
「お客さまから『おいしかった』『居心地がいい』と言っていただけるのが何よりうれしいです」

カウンター席の向こうにあるキッチンで、くるくると立ち働く水原さん。

「家庭で子どもたちに食べさせたいお料理をお客さまにお出ししています」と、ふんわりした笑顔で話します。

旬の野菜をたっぷり使い、シンプルな味付けだからこそ調味料は良いものを使うのが水原さんのこだわり。

「お花を活けるように、彩りよく盛り付けるのが好きなんです」と話し、「当初は実はあまり得意ではなかったデザートづくりも、最近楽しくなってきました」と、にっこり。

カフェパトリ レモンケーキ
ランチ+ドリンク+デザートセット(1,500円)として注文もできます(写真提供・Caféと雑貨とPatrie)

6月のある日の「今日のデザート」、アイシングをまとう姿が愛らしいレモンケーキ。

この日は他に、レモンのタルト、カスタードプリン、ブルーベリーとポピーシードのケーキ(各450円)もありました。

カフェパトリ アイスケーキ
(写真提供・Caféと雑貨とPatrie)

こちらは夏限定、パイナップル、キウイ、マンゴー、ピスタチオが入った、ココナッツの香るアイスケーキ(450円)です。

素朴で涼やかな見た目に思わず笑みがこぼれます。

今後は、新たにお魚料理もメニューに取り入れていきたいと話してくれた水原さん。

試行錯誤を重ね、安心してよりおいしく食べられる料理を提供するべく日々レシピと向き合っているといいます。

……と、お話を伺っていると、エプロン姿の小柄な女性がパトリのキッチンで何やら下ごしらえを始めた様子が目に入りました。

夜は居酒屋に!「となりのみよちゃん」の、自由で楽しい魅力とは

カフェ・パトリは16時まで。

17時からは居酒屋「となりのみよちゃん」の営業が始まります。

店主は、笹島美代子さん。水原さんのお母さまです。

となりのみよちゃん
「明るくてかわいいみよちゃん。ファンが多いんですよ」と水原さん

ここ薬円台の地で、半世紀にわたって地域に根差した商いを続けてきました。

文房具やお菓子、生活雑貨など、多様な商品を扱う「よろずや」から、居酒屋「となりのみよちゃん」へ。

建物の改装を経て、以前あった壁を壊し、ひとつの空間を昼間はパトリ、夜はみよちゃんとして営業しています。

「みよちゃんの玉子焼き(500円)と、モツ煮込み(400円)がおすすめ。おいしいんですよ」と水原さん。

南仏の小さな田舎家をイメージして作り上げたというカフェに、夜は演歌が流れるという自由で不思議な魅力がいっぱいのパトリ(となりのみよちゃん)。

ぜひ、足を運んでみてください!

Caféと雑貨とPatrie
住所/千葉県船橋市薬円台5丁目35-7
営業時間/11時~16時
営業日/水・木・金(たまに土曜)
駐車場/2台
電話番号/047-465-9475(予約可)
インスタグラム/@cafe_patrie