今年10周年を迎えた市原湖畔美術館の企画展は8人のアーティストを迎え、それぞれが感じた養老川と高滝湖をモチーフにした作品を展開しています。
公開 2023/09/05(最終更新 2023/09/04)

高滝湖と市原湖畔美術館
市原市を南北に縦断する養老川は、「高滝ダム」ができる以前は、大雨の際に氾濫を繰り返していました。
1958年、災害対策のためのダム建設が計画されました。
しかし、地元住民の同意を得ることが難しくそのまま10年ほどが過ぎ、70年に起こった洪水で多くの被害が出たため、90年「高滝ダム」が完成。
同時に高滝湖が誕生しました。
ダムの完成により洪水による被害はなくなりましたが、湖底に沈んだ民家は110戸にも及びます。
そんな歴史がある高滝湖の傍らに2013年、市原湖畔美術館は開館しました。
湖畔に沈んだ集落に思いをはせて
今回の市原湖畔美術館の企画展は、高滝湖と養老川をモチーフにした作品が展示されています。

展示室入り口には養老川河口に広がる工場地帯を思わせる作品があり、展示室の壁一面に描かれた絵画は、養老川の上流から河口への流れが描かれています。
地下の展示室に広がっているのは、沈んだ集落をほうふつとさせる作品です。

今回招かれた8人のアーティストは高滝湖やその周辺地域を掘り下げるという共通のコンセプトから、それぞれ異なったテイストの作品になっているところも見どころの一つです。
そんなアーティストの一人、加藤清市さんは、この場所が沈むことが決まった時に、この風景を残したい、残すべきだと考え、当時集落に住んでいた人々の思いと共にその風景を1500枚ほどの写真に残しました。

「この写真がなかったら本展の開催はなかった」と館長代理の前田礼さんは話します。
この写真のおかげで、実際に湖底に集落が沈んでいることを現実のものとして実感することができます。
作品は美術館内にとどまらず、エリアの外まで広範囲に展開しているので、受付でもらえる会場マップで確認を。 (取材・執筆/案山子)
会期/~9月24日(日)
開催時間/(平日)午前10時~午後5時
(土・祝前日)午前9時半~午後7時
(日曜・祝日)午前9時半~午後6時
(最終入館は閉館30分前)
休館日/月曜(祝日の場合、翌平日)
住所/千葉県市原市不入75-1
料金/一般1,000円
大高生・65歳以上:800円
中学生以下・障害者手帳および介添者無料
問い合わせ
市原湖畔美術館
電話番号/0436-98-1525
ホームページ/https://lsm-ichihara.jp/