世界選手権3連覇、パリオリンピック柔道女子48キロ級代表に内定した角田夏実(つのだなつみ)選手。
柔道の猛者とは思えないきゃしゃな体形にキュートな笑顔で、物腰柔らかく質問に答えてくれました。
公開 2023/09/10(最終更新 2023/09/06)

編集部 ゆりか
編集部所属の取材記者。白井市出身、船橋市在住。コンテンポラリーダンス、ヨガ、ズンバ、バレエなどとにかく踊るのが好き。取材執筆も好きだが、地図が読めないため取材前はいつも軽く迷う。食べ盛りの夫と3人の子育てに奮闘中。
記事一覧へ主体的な練習で柔道を好きになる

八千代市出身の角田選手は父親の影響で小学2年生から柔道を始めます。
八千代松陰中に通っていましたが、柔道の強い県立八千代高校への進学に備え、中3の時に勝田台中に転校。
八千代高校から、柔道部の強化を始めた東京学芸大学へ進学。
当時強豪校といわれる大学は他にもありましたが、自主性を重んじる東京学芸大学の柔道部で、「やらされる」のではなく、「自分から主体的に取り組む」練習を経験し、柔道の楽しさに目覚めます。
練習も少なく休みもあったので、柔術を習いに行くなどして、得意の寝技を磨きました。
「自分からやることは身に付き方も違う。練習方法も自分で考え、必要だと思ったら自分で追い込みます」と話す角田選手。
大学を卒業すると練習方法などの指導がなくなり勝てなくなる選手もいる中で、角田選手は社会人になっても困ることなく、どんどん柔道を好きになっていったと言います。

弱音を吐くことで気持ちを持ち直す

大学卒業後は強化選手として了徳寺大学の職員に。
同大学の柔道部で技を磨くも、膝の手術で試合に出られなくなってしまいます。
強化選手から外されたら職員を辞めなければならない…手術後、試合に復帰してからは「人生最後の試合かも」という気持ちで1試合ずつ戦ったそうです。

「追い込まれた方ができるタイプかもしれませんが、落ち込みやすいし、メンタルはそんなに強くないです。試合前、眠れなかったり、減量に失敗する夢を見たりします」。
柔道一筋で、さぞ強気かと思いきや、意外と気の弱いことを口走る面も。
弱音を吐くことで不安と向き合い、周りに勇気づけられたり、改善策を考えたり…。
そんな角田選手の良き相談相手は実の姉や今井コーチ。
今井コーチとはお酒を飲みに行って、悩みを聞いてもらうこともあるそうです。
パリ五輪出場時は31歳11カ月で、初出場としては最年長記録。
時に苦しくても不安と正面から向き合い、柔道を楽しむ姿勢。それが独自のスタイルを生み出し、しなやかな上昇曲線を描き続ける理由かもしれません。
