祖母、父から受け継ぎ3代にわたってのれんを守ってきた「レストランあけぼの」。
その始まりは意外にも洋食店ではなかったといいます。
公開 2023/09/20(最終更新 2023/09/20)

閑(ひ ま)
編集&記者。佐倉市在住。閑と書いてひまです。休日は引きこもりの完全インドア派ですがロッキンは毎年全通します。運動は歩くのが限界です。★Twitter★@chiiki_hima
記事一覧へキッチンを任され店を継ぐ覚悟
3代目店長の石橋亮さんの祖母、イシさんが最初に店を構えたのは東京・高砂でした。
そこでは洋食に限らずかつ丼や定食なども出す食堂だったそう。
その後、石橋さんの父、新治郎さんが洋食店で修業を積んだことから、新治郎さんが継いだ時に洋食店に。
石橋さんも同じ洋食店で修業を積み、「レストランあけぼの」を継ぎました。
「学生の頃からホールは手伝っていて。その頃から漠然と継ぐことは考えていましたね」と石橋さん。
早くから店の将来について考えていた石橋さんが本格的に覚悟を持ったのは、20代後半であけぼのの調理を任せられるようになった時。
それまでは地元の消防団や青年会にも欠かさず参加し、町の人たちと交流することが店のためと考えていました。
しかし地域の行事に参加するには店を休まなくてはならず、参加の頻度を抑えることに。
「本当に店のためになることを考えて、改めて覚悟が決まった」と振り返ります。

あけぼのといえばカレーとオムライス
レストランあけぼのは歴史が長い分、人気メニューにも変遷がありました。
初めの人気メニューは「激辛カレーライス」。
辛いものが好きな人もうなる辛さで、評判が評判を呼び、激辛通が通う店として話題になったことも。
しかし、次第に常連さんと先代の間で、さらなる辛さを楽しむようになってしまい、新たな挑戦者には耐えられないカレーになってしまったとか。
「それからは初めての人も楽しんで食べられるカレーに調整しました。後を引かない辛さとはいえ、今でも十分ピリッとした辛いカレーですよ」と石橋さん。
そして今の人気ナンバーワンは「オムライス」。
ケチャップライスにとろとろのオムレツがのっているオープンタイプと、ライスがオムレツに包まれている巻きのオムライスから選べます。
包まれたオムライスはメディアにも取り上げられる逸品で、きれいに整えるにはシェフの確かな技術が必要。
ここでしか食べられない、と多くの人が求めてあけぼのに集まって来ます。
守り続ける変わらない「懐かしい」味
石橋さんは「洋食店で大事なのって『懐かしさ』だと思うんです」と話します。
その象徴として、常連のお客さんから愛され続けるメニューにナポリタンがあります。
石橋さんが受け継いだあけぼののナポリタンは、ケチャップがベースでした。
継いだ際に味をグレードアップしようと考えた石橋さん。
隠し味にトマトソースを使用して店に出したところ、驚くことに石橋さんの下に届いたのは戻してほしいという声でした。
「パスタとしてはおいしくなったんです。でもお客さんが求めているのは、いわゆる昔ながらのナポリタンの味で。皆さんの想像にある懐かしいナポリタンを再現しながら、古い味にはならないようにと、今の味にたどり着きました」
2024年で100年を迎える「レストランあけぼの」。
津田沼の町も大きく様変わりしました。
町の発展を見守りながら営業を続けてきたあけぼのは、昨年店舗をリニューアル。
よりお客さんの顔を見ながら料理を提供できるようにとオープンキッチンに。
「コロナ禍など、大変な時期もありましたけど、地元の人や常連の人たちなど皆さんに支えてもらってなんとかここまでやってこれました。これからも地域とのつながりを大切に、店を守っていきたい」と石橋さんは話します。