日本体育大学3年生として在学中の昨年12月、大学のバスケ部を退部して千葉ジェッツに入団した小川麻斗選手。
ハードなディフェンスをはじめとしたエナジーあふれるプレーで、ブースターの心をがっちりつかんだルーキーに話を聞きました。

公開 2023/10/11(最終更新 2023/10/10)

編集部 R
「ちいき新聞」編集部所属の編集。人生の大部分は千葉県在住(時々関西)。おとなしく穏やかに見られがちだが、プロ野球シーズンは黄色、Bリーグ開催中は赤に身を包み、一年中何かしらと戦い続けている。
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ディフェンスに命を懸けて!がむしゃらに走ったプロ1年目
―シーズンお疲れ様でした。
振り返ってみていかがでしたか?
最初のうちはスケジュール的なこともあって思うような練習ができなくて。
試合になかなか絡めなくて悔しい思いもしました。
バイウイーク明けの3月ぐらいから徐々に、ヘッドコーチ(以下HC)にアピールできるようになった感覚があります。
コーチが求めるディフェンスをしっかりと遂行できたことが大きかったと思います。
―確かにディフェンスで会場を沸かせていたのが印象的でした。
ディフェンスは昔から得意だったのですか?
ディフェンスをする「脚」には自信はあったのですが、自分の中ではオフェンス(攻撃)への意識が強く、中学・高校・大学時代はそんなにディフェンスをするタイプではなかったです。
―ジェッツに入って意識が変わった?
ジェッツには(富樫)勇樹さんをはじめ点を取れる選手がたくさんいるので、オフェンス面での自分の負担はそれほどでもありません。
自分がコーチに求められているのはディフェンスだったので、「ディフェンスに命を懸ける」くらいの気持ちでがむしゃらにやりました。
10分程度のプレータイムだったら体力の限界は気にせず、相手選手に前からしっかりプレッシャーをかけようと意識しています。
―最高勝率や大型連勝を達成し、三冠まであと一歩に迫ったチームのシーズン成績についてはどうですか?
入団1年目で天皇杯やB1東地区での優勝ができたのは、とてもプラスになる経験でした。
でもチャンピオンシップを落としてしまった悔しさも忘れられません。
あれほど強いと言われていたジェッツでも勝てなかった。
やっぱりBリーグはそんなに甘くない、簡単には勝てないな…ということを実感しました。

意外!泣きまくっていた子ども時代
―お兄さんの影響で小学2年からバスケを始めたそうですが、ポジションはずっとポイントガードですか?
はい。
でもガードらしいガードではなく、点を取りに行くスタイル。
小学生にしては身長がデカくてドリブルもつけていたので、「とりあえずリングに向かってドライブ!」っていう感じでした。
―プロになる決意をしたのは何歳ごろですか?
始めたばかりの小2の頃も漠然とした気持ちはあったのですが、小4ぐらいのときには「もう自分にはバスケしかない」という気持ちでバスケ一筋でした。
中学生になってBリーグが始まり、これからますますバスケが盛り上がるな…と。
プロへの思いもより一層強まりました。
―子どもの頃、好きだった選手はいますか?
サンロッカーズ渋谷のベンドラメ礼生(れお)さんが大好きでした。
同じ福岡出身でもありますし。
僕が大学2年の時に特別指定選手としてSR渋谷に入ったときは、同じチームでプレーできて本当にうれしかったですね。
―そんなバスケ一筋の麻斗少年は、どんな子どもでしたか?
子どものころはとにかく泣き虫で。
小学生のとき所属していたミニバスチームの監督さんが、怖いことで有名な監督で、とにかく怖すぎて泣きまくっていました(笑)。
バスケは大好きだったのでやめることはなかったですが、まあよく泣きました。
中学の監督さん、高校の監督さんも…。
不思議といつもガンガン言ってくる怖いタイプの先生の下でやってきました。
―ジョン・パトリックHCはどうですか?
ジョンさんは優しいです。
ただ、口調は激しくないですが、いろんなことを指摘してくるHCです。
―高校時代は福岡第一高校で、河村勇輝選手(横浜ビー・コルセアーズ)と共にダブルキャプテンとして活躍されましたが、河村選手とはどんな関係性ですか?
どちらかがボケでどちらかがツッコミ…みたいなのは…
特にないです。
普通です(笑)
―先日河村選手が日本代表で活躍しましたが、大会中メッセージなどのやりとりはありましたか?
大会より少し前ですけど「いつか代表で一緒にやろう」というのはもらいました。
―ライバル心のようなものはありますか?
めちゃくちゃあるかって言われれば特にはないですけど…でも勇輝が活躍すると「頑張らなきゃ」という思いが、体のどこかに反応として現れることはあります。
試合翌日、体がきついはずなのに朝早く体育館に来てシューティングしたりとか。
体が勝手にそうなることはあります。
―福岡第一高校時代には、2019年の天皇杯で千葉ジェッツと対戦していますね。
3年後にこのチームでプレーするなんてことは…
夢にも思いませんでした。
マッチアップしたのは原さん、田口さん(現・秋田ノーザンハピネッツ)…スイッチして時々勇樹さんにもつきました。
原さんはシュート力も体の強さもすごかったです。
ただ速さには自信があったので、まともには当たらずかわして逃げる…って感じで。
―試合をしてみた手応えはどうでしたか?
得点も10点以上決めたし、個人的にはプロ相手に結構戦えたと思います!

―Bリーグで対戦が楽しみな選手がいたら教えてください。
さっき話した(ベンドラメ)礼生さんもですけど、あとは…齋藤拓実さん(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)や安藤誓哉さん(島根スサノオマジック)など、日本代表クラスの選手とマッチアップして止めたいな…という気持ちはあります。
―性格的に結構負けず嫌いなんですか?
そうかもしれません。
ただ、周りによく言われるのは「コートに入った時と入っていない時の差がすごい」らしいです。
コートでは落ち着いてしっかりプレーするのに、一歩コート外に出るとアホさが出てしまうとよく言われます………。
簡単に言うと、適当っす(笑)。

―ジェッツの中でよくご飯に行ったりする仲のいい選手はいますか?
年が近い金近とか。
最近、新シーズンが始まってからは大倉颯太さんや二上耀さんもご飯に誘ってくれます。
ムーン(ジョン・ムーニー)やジャスティン(マッツ)とも…
―英語で会話を?
まあしゃべらないですけど(笑)結構コミュニケーションは取っています。

―ジェッツは優れたポイントガードが何人もいるチームですが、その中で自分の強みはどこにあると思いますか ?
やはりディフェンス。
自分の中で強みと言えるものになってきました。
あとはまあ、「(相手のディフェンスが)空いたら打って、しっかりと決め切る」ところを頑張りたいです。
そういうシュートが決まればチームも乗ってくるので 。
今シーズンはシュートを打つだけでなく、自分がぺイントにアタックしてマークを引き付けて先輩方に打ってもらう…という形も作れるよう、アタックも意識しながらやっていきます。
―今シーズンはプレータイムが増えそうですね。
最低でも10~15分は出られたら…と思っています。
颯太さんもけが明けですし、文男さんもベテランなので、試合に出たいかって言われたらそんなに長くは出たくないタイプだと思うので(笑)。
勇樹さんは長いシーズン通して厳しくマークされ続けるので負担も大きい。
だから自分がなるべく出て、皆さんに少しでも楽してもらえるように…と思っています。

日本でももっと気軽にバスケのできる環境をつくりたい
―将来の夢を教えてください 。
今はバスケに集中していて目の前のことで精いっぱい。
なので、しっかり考えているわけではないんですけど…。
そうですね、いつかバスケのコートを作りたいです。
―コートですか。
アメリカに留学したときに思ったのですが、日本には自由にバスケができる環境が整っていないと感じました。
コートも少しずつ増えてきてはいますが、まだまだ。
未経験者も気軽にプレーできるような場を、できれば故郷の福岡に作りたいですね。
それからカフェも好きなんで…カフェ併設のコートもいいですね!
バスケクリニックで子どもたちが教わっている間、親御さんはカフェで休憩しながら子どもたちのプレーを見たりとか。
日本でバスケをもっと広めていけたらいいですね。
―すてきな夢ですね!
ところで先日「ファンジャンプ!バスケットボールカイエントカップ2023」のアンバサダーに就任されました。
それにちなんで、最後に子どもたちへメッセージをお願いします。
これからの時代、自分たちで考えながらバスケをする能力がますます必要になってきます。
でも小学生のうちから子ども主体でそれができる大会は珍しいので、参加する子たちにはぜひ良いチームをつくって楽しんでもらいたい。
うまくいかない時こそコミュニケーションを取ることが大事です!
―ありがとうございました。

小川麻斗選手一問一答
「麻斗」という名前の由来
お母さんが布の「麻」が好きで、お父さんは「北斗の拳」が好き。
「北斗のように強くなれ」という意味があるのだとか
背番号3番の由来
幼いころからNBAの クリス・ポール選手(ウォリアーズ)が好きだったため。
3番は「上手なガード」のイメージがあるので、Bリーグでは(特別指定選手時代も含めて)いつも3番をつけている
憧れの選手
福岡第一高校の先輩、並里成選手(群馬クレインサンダース)
好きな食べ物
オムライス(即答!) 。
甘党なのでスイーツやフルーツも好き
自分を動物に例えると
柴犬っぽいと言われることがありますが「見た目=サルだ思っている」(本人談)、サルのアイコンをよく使っているとのこと
9月15日、新チーム決起会の前にロックアイスベースでインタビューに応じてくれた麻斗選手。
間違いなくチームの主戦力となる今シーズン、その活躍に期待しています!