7月31日から流山市で開催された第72回 関東聾学校野球大会。
記録に残る猛暑の中、野球に青春を懸け、見事勝利をつかんだ野球部の活動を取材しました。
公開 2023/09/29(最終更新 2023/09/27)

ねんじ
3人の男子の育児に奮闘中の母ちゃんライター。趣味は、寝ること、食べること、時々キャンプ。身近な地域でキラリと輝く人や物に目を向け、読んだ人が元気になれるような記事を書くことが目標です。
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千葉聾学校(千葉市緑区)は、聴覚障害のある子どもたちが通う特別支援学校で、幼稚部から高等部までの一貫教育が行われています。
同校野球部は1960年創部。
8月に高等部3年生の4人が引退し、現在は9人で活動しています。
選手たちは中学部進学とともに野球部に入部し、野球を始めた子ばかり。
「聴こえづらいことで活動中にぶつかりけがをすることがあるので、最初はボールから目を離さないこと、後ろを向かないことを徹底しました。常に仲間とコミュニケーションを取り、監督の動きをよく見るよう指導しています」と藤田正樹監督。

試合中は瞬時の判断を要する場面での声掛けが難しいことも。
準備力を高めるために『このボールが来た時はこのプレーを』と随時確認することを心がけているそうです。
練習中も身振り手振りを交えた大きな声と手話で、積極的にコミュニケーションを取っていたのが印象的でした。

野球での学びを生かし未来へ
関東聾学校野球大会は、聾学校野球部にとって夏の頂点を決める大会です。
初戦から相手投手の130キロの剛速球に苦戦しましたが、事前の対策が功を奏して打ち崩しに成功。
準決勝は雷による中断を含めて6時間の試合となりました。
そして、優勝大本命校との決勝戦で完勝し、悲願の優勝!

「勝因はチーム一丸となって戦えたこと」と藤田監督は語ります。
4年ぶりに観客の人数制限が解除され、保護者やOBの熱い応援で会場は盛り上がり、ベンチの選手や監督・顧問も一つになって選手をサポートしました。
4人の3年生にインタビューすると「野球を通して、責任感、諦めない気持ち、チームワークの大切さなど多くの事を学びました。大変だった事もすべて良い思い出です」と、皆手話を交えて真剣なまなざしで話してくれました。
「目指すのは応援してもらえるチーム。社会へ出た時、誰かを応援できる人になってほしい。みんな本当に、素直でいい子たちですよ」と藤田監督は目を細めます。

次の目標は、関東大会の連覇と全国高等学校軟式野球選手権大会での勝利。
新チームとして走り出した彼らにエールを送ります。
※問い合わせ
電話番号/043-291-1371
千葉県立千葉聾学校