「いじわるされた時の子どもへの声掛け。また、いじわるな子への対応を教えてください」という5歳女児のママからのお悩みです。
公立幼稚園教諭・園長を経て、東京都教育委員会指導主事、文部科学省幼児教育調査官を歴任。
公開 2023/10/13(最終更新 2024/02/29)

子ども同士のトラブルで保護者が取る対応は、おおらかに見守りながら気持ちと状況にも目を向ける
幼児期は、他者と関わり、相手のさまざまな反応に出合いながら互いに心地よい関係を築く学びの時期なので、子ども自身から相手に気持ちを伝えられるといいですね。嫌なことをされたら「嫌だ」「やめて」と伝え、それでも解決しない、また相手に言えないなどの場合は、大人に相談できるようにしておくことが大切です。
幼児期は言葉だけで表現するのが難しいこともあるので、おうちの方が話を聞きながら「それは悔しかったね」など言葉を添えてあげると、自分の気持ちを知り、伝えられるようになります。また、子どもは大人の感情を敏感に察知し無意識に話を合わせてしまうことがあるため、子どもの話を聞く際は、落ち着いて向き合うこと。膝に乗せる、肩を抱くなどスキンシップも有効です。また、相手を「いじわるな子」と決めつけず「おもちゃを取られた」など具体的な行動として捉えることも大切です。
「ちょっかいを出す」「たたく」などの行動は、多くの場合が相手に関心がある表れによるもの。中には「自分を見てほしい」といった心が満たされていないことにより起こる場合もあります。心配が続く時は、園や子育て広場などの先生に相談してみる事もお勧めします。
子どもが意地悪された時、大人は感情を抑え落ち着いて、その子の心に届く声掛けを
「いじわる」をされている場に居合わせた場合、まずは穏やかに間に入り、状況やそれぞれの気持ちを受け止めてあげましょう。そうすることで子どもは落ち着きます。決して良い・悪いの判定はしないように。
相手の気持ちを推し量り理解できるのは4歳ごろからといわれているので、小さいうちは「ぶたないよ。貸してだね」など短く分かりやすい言葉で伝え、5歳ごろには「どうしたらいいかな」と自身で考え行動できるよう働き掛けます。
望ましい行動ができた時に認めることも大切。そして何より、その行動を叱っても「悪い子ね」などその子の人格を否定するような声掛けは避けてください。