市川市内の多くの小学校には土俵が設置されています。これはとても稀なことで、市川市立の小学校の特色の一つ。わんぱく相撲大会なども開かれ、市民にとって親しみのあるスポーツとなっています。市川市域の相撲にまつわる歴史を振り返ってみました。

公開 2023/11/30(最終更新 2025/02/05)

千葉県初の横綱は市川市から誕生
境川浪右衛門(さかいがわなみえもん)は江戸時代の1841(天保12)年4月、農家と製塩業を営む宇田川平八の三男として現在の市川市高谷に生まれました。
13歳で日本橋の酒問屋「小西屋」に奉公に出ます。
17歳の時に相撲好きな主人の勧めで五代目境川に入門。
30歳で大関、35歳で横綱に昇進し、千葉県出身力士で初めて横綱となりました。
身長168cm、体重128kg。

行徳河原出身の力士・鉄ヶ濱(てつがはま)

1889(明治22)年11月7日、現在の市川市河原で廻船問屋を営む及川五百之助の二男として誕生したのが鉄ヶ濱です。
20歳の時、東京相撲の出羽海部屋傘下の濱風部屋に弟子入り。
稲葉嶽光之助(いなばだけみつのすけ)という四股名で初土俵を踏み、十両から幕内力士となります。
しかし、巡業中の不祥事により破門となりました。
その後、大阪相撲の千田川部屋で再起を図り、鉄ヶ濱の四股名で十両へ。
幕内力士となり、前頭筆頭まで昇進しました。
身長173cm体重94kg。
鉄ヶ濱の化粧まわしは河原自治会館で保管されていましたが、会館建て替えのため、今年2月、市川歴史博物館へ寄贈されました。

江戸川を越えた!千葉県初の相撲部屋

1975(昭和50)年10月、元関脇高鐵山(こうてつやま)の大鳴戸(おおなると)親方が市川市北方2丁目に創設したのが大鳴戸部屋でした。
東京以外の土地に相撲部屋が設置されたのは初めてのことです。
大相撲の相撲部屋が江戸川を渡ったと話題になりました。
部屋は閑静な住宅街の一角に建設され、当時は大規模な平屋建ての建物やのぼりが珍しがられたそうです。

1976(昭和51)年、土俵開きが行われ、横綱輪島の土俵入りには多くの相撲ファンや近隣の住民が駆け付けました。
同部屋からは板井と維新力という2人の関取を輩出しましたが、親方の体調がすぐれず、1994(平成6)年11月場所を最後に1995(平成7)年1月、20年の歴史を閉じました。(取材・執筆/日々)
資料提供/市立市川歴史博物館
令和5年度館務実習展・小企画展「市川ゆかりの大相撲」
鉄ヶ濱の化粧まわし、大鳴戸部屋などで使われていた品々が市川歴史博物館で展示中です。
市川にゆかりのある力士をしのんでみては?
会期/12月27日(水)まで
会館時間/午前9時~午後4時30分
会場/市立市川歴史博物館1階常設展示室
住所/千葉県市川市堀之内2-27-1
料金/無料
問い合わせ
電話番号/047-373-6351 市立市川歴史博物館