10人に1人いるといわれている難聴者は、補聴器などを着けても全てが聞こえるわけではなく、会話を諦めてしまう人もいます。

伝わりやすくするためのこつを紹介します。

教えてくれたのは……

聞こえにくい人と会話しやすくなるには?伝えたいを諦めない

岩尾 至和(いわお ゆきかず)さん
(一社)言葉のかけはし代表理事
難聴の子を持つ家族会そらいろ会長

※この記事は2023年9月10日に船橋市宮本公民館で開催された「プラス1コミュニケーション講座」の内容を基に作成しました。

公開 2023/11/06(最終更新 2023/11/02)

のの

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千葉県生まれの千葉県育ち(成田→佐倉→船橋と少しずつ移動)。食べること・旅行・ヨガが好き。時々ドライフラワーを製作。空を見上げてちっぽけな自分に気づくとホッとします。

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視覚から得る情報が大切

難聴者は、口の形と文脈、小さく不明瞭に聞こえる言葉で会話を理解しています。

これら以外に視覚的に判断できるものや、補う言葉があると会話が読み取りやすくなります。

聞こえにくい人と会話しやすくなるには?伝えたいを諦めない
話す時、上の例のような「小さな寄り添い」を加えることで、聞こえにくい人が読み取りやすくなります    

1.合図

手招きなどをして、視線が合ってから話し始めます。

2.1人ずつ

複数の人で話す時は、手を挙げて1人ずつ話します。

3.ジェスチャー

体でジェスチャーをしたり、数字を指で表現したりします。

4.表情

例えば「うれしい」と伝える時は、言葉だけでなくオーバー気味に表情を付けて話しましょう。

5.説明

伝わらない時は、「りんご」→「果物のりんご」と補足したり、「変更」→「変わる」と言い換えたりします。

聞こえにくい人と会話しやすくなるには?伝えたいを諦めない

6.文字

指を使って空中に大きく文字を書いても、読み取れます。

持ち運びできる小さなホワイトボードも便利で、これを製作・販売する聴覚障害者団体もあります。

指文字や手話、ITツールも活用して

7.指文字

五十音を指で表したもの。

8.手話

あいさつの手話だけでも覚えて使うと、会話が弾みます。

9.ITツール

直接補聴器などに声を届けるワイヤレスマイク、会話をスマートフォン上に文字で表示する無料の音声文字変換アプリなど。

UDトーク
話した言葉を文字にしてくれる音声文字変換アプリの画面(一部加工しています)。スマホやタブレット端末からアプリを無料でダウンロ ードして使うことができます

UDトークのロゴ

 

UDトーク/https://udtalk.jp/

難聴者の状況が分かるアニメ動画

「なんちょうなんなん」は家族会がクラウドファンディングで作った3分間の動画。

聞こえにくい人と会話しやすくなるには?伝えたいを諦めない
「なんちょうなんなん」の一場面

「インコをリンゴに聴き間違えた」「しらんぷりではないんです」など、難聴者が聞き間違いやすい言葉や誤解されやすい状況を、親しみやすいメロディーと子ども目線からアニメで伝えています。

聞こえにくい人と会話しやすくなるには?伝えたいを諦めない
「なんちょうなんなん」の一場面。誤解されやすい状況をアニメで紹介

伝わる会話のこつは丁寧なやり取り。

難聴者は聞き返すことにためらいを持っています。

聞き返しに気軽に応じてください。

忙しい時は改めて時間を取るなどして、コミュニケーションを諦めないことが肝心です。

\動画「なんちょうなんなん」はこちらから/