ゴールデンエイジ期の我が子に、何か運動系の習い事をさせたいと考えている親御さんも多いのではないでしょうか。運動系の習い事はさまざまな種類があり、何を選べばいいのか悩みがちです。実際に、長年定番の運動系習い事のほか、近年新しく誕生している運動系習い事も増えてきているので、何を基準に選んだらいいのかわかりにくいかもしれません。
今回は、ゴールデンエイジ期におすすめの運動系習い事を5つピックアップしてご紹介します。我が子の健康や発育に関心が高いママ・パパはぜひ参考にしてみてください。
公開 2023/11/07(最終更新 2024/03/19)

目次
ゴールデンエイジ期とは?
そもそもゴールデンエイジ期とは何かご存じでしょうか。ゴールデンエイジ期とは、身体能力が発達しやすい年齢・時期のこと。具体的には9~12歳頃であり、適切な運動を取り入れることで、運動能力の向上が期待できるとされている年齢・時期です。ちなみに、5~8歳頃は「プレゴールデンエイジ」、13~15歳頃は「ポストゴールデンエイジ」と呼ばれることもあります。
ゴールデンエイジ期は、運動を通じて体の動かし方を覚え、技術を身につけるうえで最適なタイミングです。ゴールデンエイジ期は、最小限の運動体験によって、一定の技術を習得しやすい時期。覚えた体の動きは、その後も長く覚え続けることができると言われています。実際に、ゴールデンエイジ期に泳ぎ方を覚えた子どもは、大人になっても正しい泳ぎ方を覚えていることが多いです。ゴールデンエイジ期の成長の幅が大きく、飛躍的に伸びる子どもも珍しくありません。
しかし、ゴールデンエイジ期のみに運動を取り入れればいいわけではありません。アメリカの医学者・人類学者であるスキャモン氏によると、神経機能はおおむね5歳で80%程形成されるとされています。また、12歳頃には100%近くの神経機能が形成されると提唱しているため、ゴールデンエイジ期である9~12歳のみに運動を取り入れのでは不十分と考えられます。つまり、上記の提唱内容をふまえると、幼児期から運動を取り入れる必要があると言えるでしょう。
また、幼児期の運動のメリットは、身体機能に限定されることではありません。運動を通じて、日常生活での意欲を向上したり、自己肯定感の育成を実現したりすることにもつながります。結果的に体の成長だけでなく心の成長も期待できる点が、乳幼児期から運動を取り入れるメリットです。
なぜいま幼児期の運動が求められているの?
ゴールデンエイジ期のみならず、幼児期からの運動が重視されていますが、具体的になぜ幼児期の運動が求められているのか、気になるママ・パパも多いのではないでしょうか。ここからは、現代の幼児期の子どもたちに運動が求められている理由や背景について解説します。
(1)体を動かす遊びが減っている
現代において、幼児期の運動が求められている理由として、体を動かす遊びが減っていることが挙げられます。日本小児保険協会の調査では、平成12年の子どものよく行う遊びで、お絵描きやブロック、粘度などが全体の6割を占めていました。しかし、その10年後の平成22年の同様の調査では、よく行う遊びとして絵本やテレビなどが7割以上増えているとの結果が発表されています。つまり、かつては造形遊びを通してさまざまな体の動きをしていた子どもたちが、現代ではほとんど体を動かすことなく過ごしていると言えるでしょう。
実際、ボール遊びや自転車・三輪車、すべり台といった子どもたちの体を使った定番の遊びは、平成2年以降減少傾向にあります。結果的に、体の動きが未熟な子どもたちが増える結果です。
また、近年は、テレビやゲーム、スマホ、タブレットなどに時間を費やす子どもも増加傾向にあります。体を動かすことなく長時間もの時間を潰せる娯楽が増えたことで、ますます体を動かして遊ぶ機会が減少しているのかもしれません。
体を動かして遊ぶことが減っている子どもたちの中には、体の動きが未熟であるケースも見られます。5歳になっても床や椅子に座らないと靴を履き替えられない子どもや、階段を降りる際に一段ごとに足を揃えないと降りられない子どももいる状況です。
体を動かす遊びは、さまざまな動きを身につけることにもつながり、日常生活を送る際の安全性を保つうえでも重要と言えるでしょう。
(2)体を動かして遊べる時間や環境が減っている
幼児期の運動が求められている理由の一つが、体を動かして遊べる時間や環境が減っていることです。
日本小児保健協会の調査によると、近所に幼児が安心して遊べる環境がないといった声が挙がっていることが明らかになりました。交通量の増加や犯罪リスクなどの背景から、幼児のみで公園に行ったり、広場で遊んだりすることは現代では難しくなっています。親の管理のもとで公園や広場で遊べれば問題はないものの、核家族や共働き世帯の増加に伴い、親子で日々遊びに出かけることは難しい状況です。
文部科学省の調査によると、外遊びの時間が多い子どもほど運動能力も高い傾向にあることがわかっていますが、現実問題として4割の幼児が外遊びをする時間は1日あたり1時間未満です。時代や家庭環境の変化などが、結果的に子どもたちの外遊びの機会が減る要因となっていると考えられます。
また、小学生の「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」では、子どもたちの深刻な運動不足の事実が浮き彫りとなっています。小学4年生を対象に調査を行ったところ、10人に1人の男子が1週間の運動時間が1時間未満と判明しました。女子は、4人に1人の割合で1週間のうちの総運動時間が1時間未満との結果が出ています。1週間の総運動時間が長い生徒のほうが体力テストの結果も高い傾向にあることから「運動時間と、身体機能の発達」は大きく関わっていると考えられるでしょう。
体を動かして遊べる時間や環境が減少している今、子どもたちに自発的に運動するよう促すことはなかなか難しいのが現実です。運動系の習い事を上手に取り入れながら、子どもの心身の発達をサポートすることが求められています。
ゴールデンエイジ期にスポーツをするメリット
ゴールデンエイジ期にスポーツをするにあたって、どのようなメリットがあるのか気になるところではないでしょうか。とくに、これまで我が子に運動系の習い事をさせたことのないママ・パパにとっては、具体的なメリットはイメージしにくいかもしれません。ここからは、ゴールデンエイジ期にスポーツをするメリットを解説します。
(1)運動習慣が将来の健康的な生活につながる
ゴールデンエイジ期にスポーツをするメリットとしてまず挙げられるのは、運動習慣が将来の健康的な生活につながることです。子どもが運動習慣を取り入れることは、丈夫な体を作ることでもあります。体力を向上させることで、疲れにくさやだるさなどを防ぎやすくなるでしょう。運動を行うことで、心肺機能も向上しますし、持久力も高まります。
また、運動習慣を身につけることで、身体のさまざまな機能を発達させることができ、生涯にわたって健康的かつ活動的な生活習慣を送りやすくなります。運動を取り入れているゴールデンエイジ期のみならず、12歳を過ぎてからの健康にも大きく関わってくるでしょう。
実際、近年は運動不足や食生活の悪化などに伴い、子どもの生活習慣病が増加傾向にある状況です。かつては成人(とくに中年世代)に多いとされていた高血圧や糖尿病などは、子どもにも見られるようになりました。
子どものうちから病気のリスクを回避するためにも、ゴールデンエイジ期はとくに運動習慣を取り入れる必要があります。
(2)意欲的に取り組む心が育まれる
運動は、物事に対して意欲的に取り組むための心を育てるためにも重要です。子どもが体を使って自由に遊ぶことは、健やかな心の成長を促します。普段から体を動かすことの多い子どもの多くは、やる気がある子、我慢強い子、人間関係の構築が上手な子、社交的な子であり、運動と心の成長に深い結びつきがあることが見て取れます。総じて、性格的にも「前向き」な子が多い傾向です。
子どもの体だけではなく、心の成長も期待できる点は、まさにゴールデンエイジ期にスポーツをするメリットと言えるでしょう。
(3)チームスポーツでコミュニケーション能力も磨かれる
子どものコミュニケーション能力を向上できることも、ゴールデンエイジ期にスポーツをするメリットです。複数人でチームを組んで行うスポーツの場合、お互いに言葉を交わしたりルールを守ったりしながら、協力して行うことが少なくありません。必然的に、他のメンバーとのコミュニケーション機会が増え、自我を抑制できるようになったり、共同を覚えたりするようになります。年齢によっては、リーダー役を担う子どもも増えるため、チームやグループの中で自分の役割を理解して適切な行動をとれるようにもなるでしょう。
子どもがこれから大きくなるにつれて求められる社会性は、チームで行うスポーツを通して培うことが可能です。ママ・パパなど家族だけではなく、同年代の子どもとの関わりを深められるようにするためにも、コミュニケーション能力は必須と言えるでしょう。
ゴールデンエイジ期にやっておくべきスポーツ5選
ゴールデンエイジ期に取り入れられるスポーツにはさまざまなものがあり、明確に指定されているスポーツもとくにありません。しかし、子どもの成長や発育、コミュニケーション能力の向上などの観点からおすすめできるスポーツがいくつかあるのでご紹介します。
(1)サッカー
ゴールデンエイジ期にやっておくべきスポーツとして、代表的な種類がサッカーです。コート内を走ったり、ボールを蹴ったりするなど、体をダイナミックに使って体力や筋力を向上させられます。また、チームごとに戦うスポーツでもあるため、コミュニケーション能力の向上も期待できるでしょう。チーム内の友だちと会話を交わしながらプレイを進めていくスポーツなので、積極的な交流を促しやすくなり、主体的に動けるようになるのもメリットです。
また、一定のルールを守ったうえでプレイを行うため、「規律を守る」「自我を抑制する」などの効果も期待できるでしょう。
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(2)バスケ
サッカー同様に、チームでのプレイとなるバスケは、ゴールデンエイジ期におすすめのスポーツです。サッカーとは異なり「手」を使ってボールを扱う競技である点が特徴。走ったり、ボールを弾ませたりしながら、日常生活にはない体の動きをします。全身を使うだけではなく、ボールをゴールに入れるために「コントロールする力」が求められるので、空間認知能力の向上も期待できるでしょう。
サッカーも同様ですが、「上手になっていく」といった、技術的な向上そのものにも楽しみを見出しやすいのが魅力であり、スポーツへの意欲を高めることにもつながります。
(3)ダンス
ゴールデンエイジ期におすすめのスポーツとして挙げられるのがダンスです。ダンスでは、しなやかな動きをしたり、リズムに合わせて体を動かしたりすることが求められます。ダンスの種類によっては、大きく体を動かすこともあり、日常生活にはない動きも少なくありません。
サッカーやバスケと比較すると、運動量はそこまで大きくありませんが、のびのびと体を動かしながら自分を表現できるので、子どもにとって楽しい時間となるでしょう。また、ダンスはおしゃれな衣装も多いので、取り組む際のモチベーションにもつながります。
最近では、子ども向けにさまざまなダンス教室が増えているので、通いやすく継続しやすい点もメリットです。
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(4)テニス
テニスは、ゴールデンエイジ期におすすめのスポーツの一つです。素手でボールを扱うのではなく、ラケットを通じて目的の場所へとボールを打ち返すスポーツなので、さまざまな心身の機能を向上させられます。ラケットを振って打ち返す、走ってボールを追いかける、どこにボールを打ち返すか瞬時に判断するなど、短いプレイ時間の中でさまざまな機能を駆使するのがテニスの特徴です。
また、テニススクールに通えば、学校や家庭以外の居場所ができ、関わる人の数も増えます。スクール内でコミュニケーション能力を向上させられるのも魅力です。
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(5)体操
頭からつま先まで、全身を使うと言っても過言ではないのが体操です。体のあらゆる部分を使って表現する体操は、ゴールデンエイジ期にピッタリのスポーツでもあります。
体操は、自分の体をコントロールしてイメージしている通りに動かしたり、不安定な姿勢でもバランスをとって体勢を維持したりします。また、一口に体操と言っても、跳び箱やトランポリン、鉄棒などさまざまな種類があるので、子どもが興味のある種目を選んで取り組める点もメリットです。
体操クラブによっては、遊びの一環といったイメージで指導していることも多く、子どもたちも意欲的に取り組みやすい環境が整っているケースも少なくありません。
お子さんに合っているのはどのスポーツ?
ゴールデンエイジ期におけるスポーツの重要性や、現代の子どもの問題、ゴールデンエイジ期におすすめのスポーツなどについてご紹介しました。ゴールデンエイジ期に限らず、運動習慣は幼少期から身に着けたほうが良いとされています。
しかし、ゴールデンエイジ期はとくに神経機能が飛躍的に上昇する時期なので、運動を取り入れるべき年代と言えるでしょう。我が子の心身の健康に関心があるママ・パパは、これを機に子どもの意見を尊重しながらスポーツに取り組ませてみてはいかがでしょうか。
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