白樺派に心酔し、柳宗悦(やなぎむねよし)が率いた民芸運動に参加した精神科医・式場隆三郎。
その社会貢献活動の姿から、白樺派が社会に残した影響の大きさについて感じられる展示です。
※写真提供:医療法人式場病院
公開 2023/11/16(最終更新 2023/11/18)

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東京生まれ。月の出ている日は必ず見つけて写真に撮りブログにアップする月大好き人間です。果物を食べながら、「この果物はどうやって生まれてきたのかな?」とすぐ考えるタイプ。ちなみにプロフィール写真は、以前記事作成のために撮影した栗の赤ちゃんです。
記事一覧へ鑑賞する美ではなく日々使い親しむ美

地元新潟の医学生時代に雑誌『白樺』を読み、ロダンやゴッホなど西洋美術に魅了された式場隆三郎。
我孫子市に柳宗悦を訪ね、交流。
人々が日常使う道具などで美に親しむ民芸運動に共感し、加わっていきました。
精神科医になると、欧州視察で資料を収集。
精神病理学の観点からゴッホに迫る大著を上梓し、高評価を得ると、次々に本を執筆。
『月刊民芸』も発刊、民芸運動の啓発に務めました。
1939年、市川市に精神病院を開業。
患者が安らげる病院を目指しつつ、戦後は芸術の普及にも尽力し、複製画によるゴッホ展を開催。
身近な絵皿の販売などでゴッホの名を日本に広めました。

また、顧問医を務めた知的障害児入所施設で少年・山下清の画才に気付くと、その才能の開花にも助力し、山下の名も世に広めました。
現在は後期を開催中で、展示の一部が前期から入れ替わりましたが、ゴッホ自画像入り浴衣や山下の作品など一部は工期も継続展示中です。
後期では、「盲人福祉への貢献」の展示が登場。
1959年から日本点字図書館の後援会長となり、その用地買収の資金集めから力を尽くし奔走したことや、「世界盲人福祉会議」の参加に迷う館長に対して、予定の倍額の寄付を集めて激励したこと、その結果、50日の米欧州視察が実現し、150点の外国の盲人福祉用具を購入できたという逸話が、当時の用具の展示と共に伝えられます。
日本点字図書館がこの用具の研究・販売を進め、それが盲人の生活向上へとつながったそうです。
展示を見ると、式場隆三郎の心に生涯消えない情熱の火をともした「白樺派」を、もっと知りたくなりそうです。

前期展示は動画サイトYouTubeで公開中です。
\ 前期展示の動画はコチラ/
日時/~2024年1月14日(日)午前9時30分~午後4時30分(入館~午後4時)
場所/我孫子市白樺文学館
住所/千葉県我孫子市緑2-11-8
入場料/大人300円、高校生・大学生200円、中学生以下無料
休館/月曜、12月29日(金)~1月3日(水)
問い合わせ
電話番号/04-7185-2192 白樺文学館
https://www.city.abiko.chiba.jp/event/shiseki_bunkazai/shirakaba/index.html