2014年7月のオープンから、来年で10周年を迎える「スーリール」。
本場の味に出合えると評判のフランスパン、注文してからクリームを詰めるコロネ、同じく注文後約2分で揚げたてを提供するカレーパンなど、お客さまの「笑顔」のために手をかけ工夫を重ねるパン工房を取材しました。
街と人と小さなお店が育む、心通う豊かな日々の軌跡です。
※記事中の価格はすべて税抜き
※内容や価格は取材時のものです。最新情報はお問い合わせください。
公開 2024/01/14(最終更新 2024/04/01)

目次
「笑顔」という名前の、街の小さなパン屋さん

新京成線「習志野駅」から歩くこと15~20分。
または「北習志野駅」から新京成バス「習志野車庫行」に乗り、「第二小学校入口」で降りて徒歩3分ほど。
青いのぼり旗とポップな色合いの三角ガーランドが目印の「手作りパン工房スーリール」に到着です。

店主の中野剛さんは、ここ習志野台のご出身。
専門学校を卒業後、大手ベーカリー勤務を経て2014(平成26)年7月に「スーリール」が誕生します。
フランス語で「笑顔」という意味の「スーリール」。
「お店に来ていただいて、パンを選んで、食べて、笑顔になってほしい」
中野剛さん・美幸さんご夫妻のそんな思いが込められています。
今日はどんなパンがあるかな…「令和ぱん」ってどんなパン?

自宅の駐車スペースを改装したという約3坪の店内は、こぢんまりとしたつくりですが、パンの種類はたくさん!
わくわく、思わず笑顔になる瞬間です。
日替わり食パンや季節限定パンも合わせると、現在約70種類のパンが並びます。
「小さなお店だからこそ、訪れるたび新しいパンに出合える、お客さまにはそんな『出合う楽しみ、選ぶ楽しみ』を感じていただきたいと思っています」と店主は話します。

くまちゃんの愛らしい表情… どうぶつぱんの中身はチョコクリームです。
外側は、思ったよりしっかりした食感で、内側は、きめ細かなふんわり生地。
一般的な「菓子パン」とはやはり一線を画すお味です。
取材に訪れた11月には、トナカイがいましたよ!

元号が「平成」から「令和」へと改められたころに、記念にと作られた「令和ぱん」。
中身はなんと、こしあんとコーヒーホイップ!
「コーヒーを飲みながらあんぱんを召し上がる方が意外といることを聞いて、合うんじゃないかなと思って」と奥さまが話すように、口にしてみるとわかる組み合わせの妙。
当初は期間限定の予定だったそうですが、お客さまから「続けてほしい」と多く要望が寄せられ、現在も店頭に並べているそう。

どうぶつぱんも令和ぱんも、袋にたっぷり空気を含ませて包装してくれるので、お顔や文字をきれいなまま、そしてもちろんパンもふんわりとしたまま持ち帰ることができますよ。
定番ラインアップ 本格フランスパンと、今日はどれにする?いろいろラスク

フランスパンは、低温で長時間かけて熟成し焼き上げた本場の味。
外皮はバリッと香ばしく、内側は大小の気泡(穴)があり、もっちりとやわらか。
ほんのり塩味が効いていて、もぐもぐとかみしめるほど感じられる素朴で静かな味わいは、文字通り「毎日食べて飽きない」、潔いおいしさがあります。
北海道産石臼挽き粉を配合した小麦、塩、イースト、水というシンプルな材料で作るからこそ、作り手の手腕が問われるというフランスパン。
同様にシンプルに焼き上げたフランス食パンは、予約をして購入する根強いファンが多いそうです。

ラスクの種類もたくさんあって、どれもとってもおいしそう。
個人的なお気に入りは、こちらのレーズンシュガーラスク。
ザクザクとしたラスク特有の食感の中に、レーズンの甘酸っぱい弾力ある歯ざわりが時々現れては、じんわりと広がるグラニュー糖の甘さと相まって、独り占めしたくなるおいしさです。
約2分で揚げたて!サクサク軽い食感の大人気カレーパンの中には…
お待たせしました、花形「カレーパン」の登場です。

チキンカレーパンは、実は店内の棚には並んでいません。
注文すると、奥の工房で店主が揚げてくれます。
揚げたてサクサク、カリカリのカレーパンが出てくるまでおよそ2分!
他のパンを選んだり、奥さまとおしゃべりをしているとあっという間です。

揚げたてをいただきます!
スーリールのカレーパンは、さっくりと軽い食感で脂っこくないのが特長。
一度オーブンで焼き上げているから、油で揚げる時間が短くて済むのだそう。
「できるだけ揚げたてを食べてもらいたいという気持ちから、このかたちで販売しています」と奥さま。
幅広い世代に人気というチキンカレーパンは、一日に70個ほど売れたこともあるそう。
お客さまの声を柔軟に取り入れて。これからも地域のみなさんと一緒に歩む
週末は特にいろいろなパンが早く売り切れてしまうこともある中、なるべく切らさないようにしているというカレーパン。
パンが完売したらその日はお店じまいをするといいます。
おふたりで営む小さなお店は、1日に仕込む量にも限りがあります。
しかし、だからこその工夫もあります。
例えば、スーリールのコロネは、先に登場した令和パンのように、お会計前にクリームを詰めてくれます。
自家製カスタードクリームが傷まないように、また、クリームの水分がパン生地に染みてしまわないように。
そして「カスタードクリームとチョコクリーム、お客さまのお好きなほうを詰められます。クリームの後入れを喜んでくださるお客さまが多いですね」と奥さまが笑顔で話すように、お客さまの立場に立って手間を惜しまず工夫を重ねるおふたりの姿勢は、常連さんはもちろん初めて訪れるお客さまにも支持されています。

こちらは「愛犬と一緒にパンを食べたい」というお客さまからの声を受けて誕生した、わんちゃんパン。
「こういうパンはないの?こんな風にできる?など、ご要望を伝えてくださるお客さまが多くてありがたいです。今後もなるべく柔軟に取り入れていきたいと思っています」と奥さまは笑顔を見せます。
2024年の夏には10周年を迎えるスーリール。
地域に密着して運営を続けるパン工房では、こんなほほえましい光景も。
「小さな頃から来てくれている子が『高校生になりました』と制服で来てくれたり、大学生が『就職決まりました』『結婚します』『子どもが生まれました』などの報告に訪れてくれること、成長を見られることが、お店をやっていてうれしかったなぁと思う瞬間です」
スライドドアを開くと、店主と奥さまが朗らかに出迎えてくれるあたたかい雰囲気の小さなパン屋さん。
おいしいパンと笑顔がいっぱいのスーリール、その魅力に出会ってみませんか。
手作りパン工房 スーリール
住所/千葉県船橋市習志野台5-38-38
営業時間/7時~19時
※パンがなくなり次第、閉店
※土日祝は17時まで
定休日/月曜・木曜
駐車場/なし
電話番号/047-494-8517
インスタグラム/@sourire2015.7
Facebook/https://www.facebook.com/profile.php?id=100057044156512