2023年12月、東京2020パラリンピックに出場経験もあるトライアスロン選手の秦由加子さんが、市立姉崎東中学校(千葉県市原市姉崎3056の1)を訪れ、1年生の生徒に講演を行いました。
公開 2024/01/22(最終更新 2024/03/25)

編集部 モティ
編集/ライター。千葉市生まれ、千葉市在住。甘い物とパンと漫画が大好き。土偶を愛でてます。私生活では5歳違いの姉妹育児に奮闘中。★Twitter★ https://twitter.com/NHeRl8rwLT1PRLB
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主催したのは市原市姉崎公民館。
同館は6年ほど前から自主事業として、近隣の中学校に通う生徒を対象に障がい者スポーツの体験授業を実施しています。
目的は相互理解を進め、人格や個性を尊重し合える共生社会を目指すこと。
今回の講演は、秦由加子選手の人柄や生き方に多くの生徒が共感してくれると考え企画。
3年前に近くの姉崎中学校に秦選手が訪れた縁もあって実現しました。

秦選手は千葉県出身。
3歳から水泳を始め、小学5年生までスイミングクラブに通っていました。
中学1年生の時に骨肉腫を発症し、右脚を大腿部から切断。
数年間スポーツとは無縁の生活をしていましたが、2007年に水泳を再開します。
その4年後にトライアスロンに転向。
2016年リオ大会、2021年東京大会と2度のパラリンピックの出場も果たしました。
自分次第で人生は大きく変わる
講演は、「皆さんは義足で歩いている人を街で見かけたことはありますか?」という問いかけからスタート。
一般的に義足は外側にカバーを付けて着用しますが、秦選手はそのカバーを作っていないと明かします。
「例えば目が悪い人が眼鏡をかけるのと同じように、私は足の代わりにこれ(義足)を付けている。自分自身が恥ずかしいと思わない限り、コンプレックスにはなりません。皆も周りの人にどう見られるかでなく、本質を捉えて自分で判断してほしい」と生徒の目を見て語りかけました。

また、26歳で水泳を再開した当時を振り返り「13年間ずっと苦しかったけど、泳いでみたら楽しくて。人生が一変しました」と笑顔。
12歳でつらい決断を迫られた自身の経験を語った上で「体の一部がなくなることよりも命が一番大事。命があれば人生はやり直せるし、どんなことでもできるから」と生徒たちに力強いメッセージを送りました。
質疑応答では、「義足で一番大変なことは?」「試合で緊張しないようにするには?」など多くの生徒からさまざまな質問があり、秦選手も一つ一つ丁寧に答えます。
生徒から秦選手へ、花束と寄せ書きが書かれた国旗の贈呈も。

会の最後の写真撮影では秦選手と生徒がにこやかに言葉を交わし、温かな雰囲気のまま幕を閉じました。
秦選手の自然体の姿や数々の言葉に、参加した生徒もたくさんの気づきと勇気を得たことでしょう。
問い合わせ
電話番号/0436-61-0124
市原市姉崎公民館