環境保護や動物愛護の観点から、ビーガンレザー(動物の皮を使用しない人工皮革)が注目されています。
柏市の会社が開発に成功したのは、千葉県特産の落花生の薄皮から作った人工皮革でした。
公開 2024/03/05(最終更新 2024/03/25)

落花生の薄皮を使ったレザーができた!
リンゴの皮や廃棄コーヒー豆、パイナップルの葉の繊維、きのこの菌糸体などから作るビーガンレザーは、世界各国で積極的に開発が進められています。
柏市内で皮革製品の製造販売業を営む柏レザー株式会社代表の飯島暁史さんは、千葉県が全国の生産量の85.1%を誇る落花生の殻や薄皮を使ったビーガンレザーを作りたいと考え続けてきました。

2022年1月ごろに、落花生生産農家であり加工食品の製造販売を手掛ける(有)木村ピーナッツ(本社・館山市)に相談を持ち掛けました。
当初は落花生の殻の使用を考えていましたが、硬くて不純物が多く、手間がかかるため断念し、中の薄皮を使ってみることに。

木村ピーナッツでは1日約10kgの薄皮を廃棄していました。
これを活用することができれば、廃棄にかかる環境負荷も軽減できることになります。
何軒もの工場に断られても諦めずに研究と試作を繰り返した飯島さん。
ついに昨年2月にPVC(ポリ塩化ビニル)を配合した完成品が出来上がりました。
「成田空港のソファに採用してほしい」
「実現した時は感激で震えました」と飯島さん。
「千葉で生まれ千葉で育ち、千葉で商売をする身として、千葉の特産品でビーガンレザーを作って世界に発信したい」との熱い郷土愛が成功の源でした。

レザーの風合いを持ちながら虫害や腐食に強く、軽くて丈夫。
反物なので無駄なく使えて効率的、艶のある風合いも魅力です。
自社製造のかばんや財布、小物類は、店頭およびネット通販でも売れ行き好調です。

「海外のビーガンレザーよりも低価格なので、広く外国に向けた商品開発も進めていきたい。ソファや車のシートなどにも使えます。これを成田空港の待合ロビーのソファに使ってもらえたら、千葉県が誇る落花生の役割と価値が世界に広がるはず」と、尽きない夢を熱く語ってくれました。
(取材・執筆/ひのき)
※問い合わせ
電話番号/04-7162-1239
柏レザー株式会社(NUIZA縫EMON(ぬいざえもん)柏) 飯島