訪れた国や地域90以上、海外への旅は221回。
旅行作家の秋山秀一さんが、自身で撮影した写真とともに、世界の街を歩いた思い出をつづります。

公開 2024/03/23(最終更新 2024/03/25)

アステカ人を驚かせた古代文明都市遺跡

メキシコ・シティの北東約50kmにあるテオティワカンは、紀元前2世紀ごろに建造されたメキシコ最大の古代都市遺跡。
紀元350〜650年ごろの人口は、古代アテネの最盛期に匹敵する15万人に達したとされる。
貯水池や下水道も整備されていたこの古代文明都市は、8世紀ごろ、謎の滅亡を遂げた。
14世紀、廃虚となっていたこの地にやってきたアステカ人が、ピラミッドや宮殿などの壮大さに驚嘆。
ここを、神々が集い、太陽と月を創造した聖地と考え、「神々が集う場所」を意味するテオティワカンと名付けた。


ピラミッドの頂上から遺跡を見渡す
宮殿内の、下水機能も備えた住居跡には壁画が描かれている。


この壁画では、ジャガーと思われる動物が、羽根飾り付きのホラガイを吹いている様子が描かれている。
ジャガーは強さの象徴で、大地と闇の神を表しているのだ。


月のピラミッドのかなり急な石段を登り、頂上に立つ。
下には月の広場が広がり、その先に真っすぐ延びる死者の道と太陽のピラミッド。
遺跡の全容を見通せるここからの眺めが、一番いい。


太陽のピラミッドの頂上からは、北に月のピラミッド、背後にセロゴルド山が見える。


16世紀にアステカ帝国を征服したスペイン人がこの遺跡に興味を示さなかったため、発掘調査はメキシコ独立後の1884年から開始された。
現在でも全体の10分の1程度しか発掘されていない。(文・写真/秋山秀一)