訪れた国や地域90以上、海外への旅は221回。

旅行作家の秋山秀一さんが、自身で撮影した写真とともに、世界の街を歩いた思い出をつづります。

秋山秀一さん
旅行作家、元東京成徳大学教授、NHK文化センター講師。日本エッセイスト・クラブ常務理事、日本旅行作家協会会員、日本外国特派員協会会員。『鎌ケ谷 まち歩きの楽しみ』『世界観光事情 まち歩きの楽しみ』『ウクライナとモルドバ』など著書多数。鎌ケ谷市在住。鎌ケ谷市国際交流協会(KIFA)会長、鎌ケ谷市都市計画審議会会長。

公開 2024/03/23(最終更新 2024/03/25)

編集部

編集部

千葉・埼玉県在住の編集メンバーが、地域に密着して取材・執筆・編集しています。明日が楽しくなる“千葉・茨城情報”をお届けします!!

記事一覧へ

アステカ人を驚かせた古代文明都市遺跡

テオティワカン
太陽のピラミッド

メキシコ・シティの北東約50kmにあるテオティワカンは、紀元前2世紀ごろに建造されたメキシコ最大の古代都市遺跡。

紀元350〜650年ごろの人口は、古代アテネの最盛期に匹敵する15万人に達したとされる。

貯水池や下水道も整備されていたこの古代文明都市は、8世紀ごろ、謎の滅亡を遂げた。

14世紀、廃虚となっていたこの地にやってきたアステカ人が、ピラミッドや宮殿などの壮大さに驚嘆。

ここを、神々が集い、太陽と月を創造した聖地と考え、「神々が集う場所」を意味するテオティワカンと名付けた。

テオティワカン
タルーと呼ばれる傾斜した石壁と、タブレロと呼ばれる枠がついた垂直な石壁を、交互に積み上げてつくられている
テオティワカン
点々と黒い小石のあるところは修復した箇所を示している。

ピラミッドの頂上から遺跡を見渡す

宮殿内の、下水機能も備えた住居跡には壁画が描かれている。

ジャガー宮殿
ジャガーの宮殿の壁画
ジャガーの宮殿の壁画

この壁画では、ジャガーと思われる動物が、羽根飾り付きのホラガイを吹いている様子が描かれている。

ジャガーは強さの象徴で、大地と闇の神を表しているのだ。

テオティワカン
月のピラミッド。太陽のピラミッドに次いで、テオティワカン遺跡の中で2番目の大きさだが、地盤が高いので頂上の高さはほとんど同じ
テオティワカン
月のピラミッドの南側の急な石段を上ってくる観光客

月のピラミッドのかなり急な石段を登り、頂上に立つ。

下には月の広場が広がり、その先に真っすぐ延びる死者の道と太陽のピラミッド。

遺跡の全容を見通せるここからの眺めが、一番いい。

テオティワカン
月のピラミッドから死者の道(正面)、太陽のピラミッド(左奥)を望む
テオティワカン
太陽のピラミッドを登ってくる観光客

太陽のピラミッドの頂上からは、北に月のピラミッド、背後にセロゴルド山が見える。

遺跡内の売店で、ピラミッドがデザインされたTシャツが売られている
テオティワカン
月の広場で土産物を売る陽気な男

16世紀にアステカ帝国を征服したスペイン人がこの遺跡に興味を示さなかったため、発掘調査はメキシコ独立後の1884年から開始された。

現在でも全体の10分の1程度しか発掘されていない。(文・写真/秋山秀一)