「空と海」は、社会福祉法人地蔵会が運営する障がい福祉サービス事業所。

障害のある子どもたちが作品製作などの活動に励んでいます。

公開 2024/03/10(最終更新 2024/03/15)

ちいき新聞ライター

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コンセプトは、ものづくりと体づくり

船橋市 空と海、後ろは雑木の森
空と海、後ろは雑木の森

三咲駅から国道16号へと進み須賀神社を左折するとすぐに、黒っぽい平屋の建物が見えてきます。

その後ろには葉をすっかり落とした雑木などの森が広がり、思わず深呼吸したくなりました。

「空と海」の建物にはギャラリー、アトリエ、レストラン、グループホームが並んでいます。

子どもたちが刺しゅう、織物、絵画、和紙づくりなどに熱中しているアトリエ、料理を手際よく皿に盛り付けているレストランなどへ、理事長の大野待子さんが案内してくれました。

船橋市 空と海 木工工房の奥野さん
木工工房の奥野さん

「その子に何ができるかを見つけるのが私たちの仕事」。

手探りで始めた事業所でしたが、「指示はせず見守り、褒めて褒めることでいろいろできるようになった。これで間違いない」と大野さんは確信したそうです。

毎朝1時間は森で体操、ウオーキングやランニングをするのが身体づくりの日課。

子どもたち同士、また職員と触れ合う場にもなっています。

支援学校卒業後の居場所から仕事場へ

空と海がスタートしたのは1996年。

画家の大野さんと、寺で4年間修業し、「書」を学び和紙に興味のあった元教師の総括施設長・奥野満さんが、二人で「紙好き工房空と海」を立ち上げました。

きっかけは、支援学校に通う子どもたちの保護者から「卒業後に行く場所がない」との悩みを聞いたことからです。

紙すきなどの紙工芸品作りから始まり、タペストリーは評判になり仕事としてもつながっていきました。

ギャラリーやアトリエから少し離れた工房では、廃木材の梨の木を使い家具、額縁やトレー、ボタンなども製作。

奥野さんが、楮(こうぞ)の皮を使ったランチョンマットやランプシェードを見せてくれました。

あれこれ工夫を楽しんでいる感じ。

「私たちの作っているものはすべて土に返っていきます」と大野さん。

居心地の良さはこんなところからも来ているのでしょう。(取材・執筆/江梨)

船橋市 空と海 作業を見守る大野さん
作業を見守る大野さん

空と海
住所/千葉県船橋市神保町189-1
電話番号/047-456-2188