省エネ住宅やZEH(ゼッチ)を語るとき、最初に出てくるのが「高断熱・高気密」です。これらの性能が高いことでもたらされる、本当に大切なメリットとは。ZEHビルダー登録の一級建築士事務所に話を聞きました。
教えてくれたのは…

公開 2024/03/22(最終更新 2024/03/24)

住宅性能の低さがストレスの原因に
皆さんは、ご自宅の「性能」に100%満足していますか。
「窓の結露がひどくてカビが生える」「家の中に生活臭がこもりがち」「外の音がうるさくて気になる」「冬の廊下や脱衣所が寒くてヒートショックが怖い」「夏は冷房をつけていても暑い。寝苦しい」「各部屋でエアコンを使うので光熱費が高い」など、これらのストレスの原因は、残念ながら住宅の断熱・気密・換気の性能の低さが原因です。
いま、ZEHをはじめとする省エネ性能の高い住宅が、次世代のスタンダードとして注目されています。
住まいの省エネの実現には、断熱・気密・換気の性能を高めることが必須です。

断熱×気密×換気の3点セットで考える
断熱性能が高いと外気温の影響を受けにくいので、冷暖房効率がアップ。
少ない消費電力で「冬暖かく、夏涼しい」住空間をかなえられます。
しかし、ここで隙間風が入ると、せっかく温めた・冷やした空気が逃げてしまうので、気密性の高さが重要になります。断熱性と気密性はセットで考えなければなりません。
断熱性はUA値、気密性はC値で示され、数値が小さいほど高性能です。
国が定めた高気密・高断熱住宅の「次世代省エネ基準」を大幅に下回るハウスメーカーも多数ありますが、完成した一棟一棟の性能試験の結果ではなく、複数棟の平均値で出している場合もありますので、確認する時は注意してください。
高い気密性が確保できて初めて「24時間換気システム」が正しく機能します。
「24時間換気システム」とは、現在すべての建築物に設置義務があり、室内の汚れた空気を2時間に1回、外の新鮮な空気と入れ換える「計画換気」を行う設備です。
主に第1種・第2種・第3種の3種類あり、バウハウスが採用する第3種換気の場合、室内の空気を外へ排出する際の気圧差で、外の空気が室内に自然給気されます。排気・給気ともに機械で行う第1種に比べ、初期費用も維持費も抑えられるのがメリットです。
隙間が多いと換気の効率が下がるため、生活臭や湿気が室内にこもり、結露が生じます。
気密性が高ければ換気がスムーズになり、結露がなくカビも生えず、空気がきれいに保たれます。
家を傷める湿気がないので家自体も長持ち。
強固な躯体(くたい)なら2代、3代と住み継げる家になるでしょう。
本物の省エネ住宅がかなえてくれること
計画換気が正しく機能する、本当に高気密・高断熱な住まいが光熱費を下げられるのは、単純に冷暖房の設定温度を抑えられるというレベルではありません。
例えば、バウハウスで建てたわが家はエアコン1台で全館冷暖房が可能で、床暖房が無くても冬でも素足で歩けます。
家自体の性能が高ければ、機器の買い替えやメンテナンスなどのランニングコストをぐっと抑えることができます。

それ以上にメリットなのは、家中どこにいても温度差がなく、きれいな空気の中で快適に暮らせること。夏の室内熱中症や冬場のヒートショック事故、呼吸器系の病気への不安もありません。
省エネ性能を高めることは、住まいにストレスがなく、健康で心豊かに暮らせることに直結します。
もしそうでないなら、どこかが抜け落ちているはず。
「性能を数値で見ても分からない」「空気がきれいってどんな感じ?」と疑問に思ったなら、体感するのが一番。ZEHや省エネ住宅など高機能をうたうモデルハウスに足を運んでみることをお勧めします。