1947(昭和22)年、千葉県初の男声合唱団として発足したHGメンネルコール。

音楽を愛し、楽しみ、共に歌う喜びを追求する誇り高き表現者たちを取材しました。

公開 2024/05/09(最終更新 2024/05/09)

雪道

雪道

高知県出身、船橋市在住。元英語講師。ロック好き。読書好き。月村了衛、笹沢左保、有栖川有栖が好きです。残りの人生の目標は、ピアノとドイツ語をならうこと。好きな言葉は「ご縁」。

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戦後の船橋に誕生 守り継ぐ男声合唱団

定期演奏会(2018年)の様子。指揮:大嶋和野さん(現常任指揮者)、ピアノ:マグルーダ―雅子さん
定期演奏会(2018年)の様子。指揮:大嶋和野さん(現常任指揮者)、ピアノ:マグルーダ―雅子さん

ドイツ語で「男声合唱団」を意味するメンネルコールに、「ハゲ頭」と、ドイツ語の音名のH(シ)・G(ソ)2つの意味をかけた団名は、創設時に指導を仰いだ「合唱界の魔術師」故・秋山日出夫さんが命名。

全日本合唱コンクール3年連続総合優勝、NHK出演といった華々しい経歴を誇る同団は、定期演奏会をはじめ音楽イベントに積極的に出演するなど、創立80周年を目前とした現在も躍進を続けています。

団員は、50代から最年長91歳まで30人。

会長の柏戸正英さんは、昭和20年代に全日本合唱コンクール3連覇を達成したメンバーの一人。

副会長を務める吉田二郎さんは上京を機に「憧れの存在だった」という同団に加入、以来40年以上にわたり団の理念「心のハーモニー」を実現するべく仲間と共に練習に取り組んでいます。

男声合唱団「 HGメンネルコール」
故・金子幸雄名誉会長の厚意により提供されている専用練習場は「団の長い歴史において、どんな時も存続を支えてくれた大きな存在のひとつ」と幹事長の石堀章二さん。現在は孫の金子喜平さんも在籍、仲間たちと歌声を響かせています

苦境を乗り越え心をひとつに奏でる

リハーサルを終えてガッツポーズ(2018年)。この後、新型コロナウイルスの世界的流行により、定期演奏会は6年にわたり休止を余儀なくされました
リハーサルを終えてガッツポーズ(2018年)。この後、新型コロナウイルスの世界的流行により、定期演奏会は6年にわたり休止を余儀なくされました

先のコロナ禍では「合唱はおろか集まることもはばかられ、自主練習に励んだ」メンバーですが、高齢の団員の中には健康上の理由から引退する人が続出、団員数は最盛期の約半数に減少した時期も。

しかし「数十年間歌い続ける中で培った合唱音楽への愛情と熱意が消えることはない」と吉田さんが語るように、苦難の3年間を経てようやく、歌声を維持する工夫と努力の日々に光が射し、活動再開へと扉が開きます。

音程の正確さと豊かな表現を追求し、厳しくも和やかに指揮を執る大嶋和野さんは「年齢を重ねる中、常に誇らしく、憧れられる存在でありたい」と話し、団員らも従来通り、20曲にも上る楽曲を暗譜して舞台に臨みます。

「暗譜は大きな課題ですが、皆で高みを目指します」と広報の鶴見一義さん。

「練習後の懇親会も楽しみ」と声をそろえる団員らは世代を超えて厚い友情を育み、声と心を合わせてひとつの音楽を創り上げます。

男声合唱の深く重厚な響き。

会場で味わう感動は格別なものとなるでしょう 。

第60回船橋市合唱祭(2014年)女声コーラスさざんかと「ふるさとの四季」をリレー演奏
第60回船橋市合唱祭(2014年)女声コーラスさざんかと「ふるさとの四季」をリレー演奏

日時/5月18日(土)
   午後2時開演(午後1時30分開場)
場所/船橋市民文化ホール
住所/千葉県船橋市本町2-2-5
入場料/1,000円

※問い合わせ
電話番号/090-9849-2109 石堀
メール/HGmannerchor@gmail.com