書を絵のように、造形的要素を強調して表現しようとした徳野大空(とくのたいくう)と、同世代の書家たちの展覧会。

書道鑑賞初心者にも楽しめる作品が並びます。

公開 2024/05/18(最終更新 2024/05/16)

ちいき新聞ライター

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成田山公園の美術館で、収蔵優品展

「戦後、芸術としての書を追い求める渦中にいた徳野大空と同世代の書家は、書の表現領域の幅を広げようと、あるいは明らかにしようと、さまざまなチャレンジをしました」と、学芸員の山崎亮さんは解説します。

徳野大空は、「そうした時代を生きた一人として、書に絵画的な表現を加えた作風で書の可能性を追求した作家だと思います」とのこと。

成田山書道美術館「徳野大空展」6月16日まで開催【成田市】
火山/直線と渇(かっ)筆(ぴつ)で火山の力強いイメージを表した作。見学者の目線に合わせ上部に押印し、作品全体の重心を下げて書いています。二曲の屏風仕立てとなっており、展示された姿は山のイメージに重なります

漢字で草原を表現。発想力を楽しむ

代表作「草原」は、小さい文字の一字一字をぜひ実物で確認してもらいたい面白さ。

成田山書道美術館「徳野大空展」6月16日まで開催【成田市】
草原/草の古字「艸」を書き連ねて全体として視覚的にも草原のように見える姿に仕上げた作。3日徹夜し、計4日で仕上げたそうです

細字を書き連ねる根気と技術にも注目です。

「書はもちろん、その発想力をお楽しみいただきたいと思っています」と山崎さんが紹介するように、50年たった現在でも、新鮮な驚きを与えてくれる作品群です。(取材・執筆/倫)

成田山書道美術館「徳野大空展」6月16日まで開催【成田市】
品/「品」一字を龍安寺の石庭のイメ ージを念頭に書いた作。実際の石庭を見に行こうとしたものの、すでにあるイメージを尊重して実際には見ずに書いた作だと大空は述懐しています

収蔵優品展
生誕110年 歿後50年 徳野大空を中心に
会期/~6月16日(日)
開館時間/午前9時~午後4時(最終入館は午後3時30分)
会場/成田山書道美術館(成田市成田640 成田山公園内)
入館料/大人500円、高・大学生300円、中学生以下無料
休館日/月曜日(休日の場合は翌平日)
問い合わせ/0476-24-0774 成田山書道美術館