乳がんは、早期に発見し、早期に治療をすれば治癒率の高い「治るがん」です。早期発見のために重要なポイントを聞きました。

教えてくれたのは

八柱三和病院の院長の渡辺修医師

三和病院(千葉県松戸市) 院長 渡辺 修さん

公開 2024/05/23(最終更新 2024/05/31)

広田 みずほ

広田 みずほ

埼玉県生まれの千葉県民。地域新聞社で広告の企画営業、編集部を経て現在広報担当。好きなものは東南アジアとハイボール。勝田台駅周辺の酒場放浪記を書きたい。★X(旧Twitter)★@tahirom2

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マンモグラフィ検査と超音波検査

日本人女性の罹患(りかん)率第1位のがんは乳がんです。年間で9万人を超える女性が罹患しており、9人に1人が生涯に一度は乳がんにかかると言われています。しかし、死亡率で見ると第4位。ステージ1(しこりの大きさが2cm以下でリンパ節転移がないもの)で発見すれば、10年生存率は約90%です。

早期発見のためには乳がん検診が有効ですが、日本の受診率は欧米に比べて低く、なかなか改善されていません。著名人が乳がんを患ったという報道が出て一時的に受診者が急増したことがありますが、それっきりにせず、適切な方法・頻度で定期的に受診することが大切です。

30歳以降は、年代別に検診方法を変えて、毎年1回受診しましょう。30代は超音波(エコー)検査、40代はマンモグラフィ検査(2方向)と超音波検査を隔年で交互に、50歳以上はマンモグラフィ検査(1方向)の受診がおすすめです。30~40代は乳腺濃度が高いため、マンモグラフィでは病変が見つけにくいことがあります。そのような場合は超音波が有力ですが、マンモグラフィでしか見つけられない乳がんもあるため、両方の受診が必要なのです。

マンモグラフィ検査と超音波検査の違い
マンモグラフィ検査と超音波検査の違い

ブレスト・アウェアネスという習慣

実際に症状があって乳がんが見つかる場合は、9割以上がしこりを感じたことがきっかけです。ですから、検診と合わせてセルフチェックもぜひ習慣化してください。日頃から乳房の状態を意識する生活習慣を「ブレスト・アウェアネス」といいます。まず普段の自分の乳房の状態を知らなければ、何か変化があっても気付くことができません。お風呂上りに鏡を見るなどして、しこりやくぼみ、乳頭からの分泌物などに気付いたら、検診を待たずにすぐに医師に相談しましょう。

乳房チェックのやり方
乳房チェックのやり方

「血縁者に罹患者がいないから私は大丈夫」と思う人もいるかもしれません。しかし、遺伝性の乳がんは5~10%と言われています。がんはさまざまな要因によって発症すると考えられていますが、乳がんの9割は遺伝以外の環境要因が関わっているわけです。例えば、喫煙は乳がん発症のリスクを上げることが分かっています。また、閉経後は体重が増えるとリスクが高まるため、適度な運動を心掛けましょう。乳がんは人ごとではないという意識で、日頃の生活習慣に気を付けながら、定期的な検診を忘れないようにしてください。