気分良く飲んで、社会貢献ができる。そんなビールがあるのなら、飲んでみたいと思いませんか。ピーナッツや梨、カブなど、千葉県ならではの素材を取り入れたクラフトビール(※)を取材しました。
※お酒は20歳になってから
※今回取材したクラフトビールは、酒税法上は発泡酒となります
公開 2024/06/21(最終更新 2024/07/16)

千葉県産の農産物を生かして

千葉県柏市酒井根にある柏ブルワリーの前身は、地域の人たちが集う小さな居酒屋でした。代表の梅崎勝さんが飲食業からクラフトビール事業に参入したのは2018(平成30)年のこと。「自分の技術で人を助けたい」「柏の町を活性化したい」という想いを強くした梅崎さんが、その手段として選んだのがビールだったと言います。ビールの種類である「エール」に、「柏を応援したい」という気持ちを乗せて、「柏エール」と名付けました。
柏エールは現在全部で6種類。米・生姜・カブ・梨・ピーナッツ・コーヒーと、どれも千葉県産の農産物または県内で加工された食材を副原料に取り入れて製造しています。柏市内で耕作放棄地が増えている現状を目の当たりにし、地産地消で地元の農業を盛り上げたいと考えた梅崎さん。「新規就農者が増え、農地や豊かな自然環境が残ることにつながれば」と話します。
その製造工程は全て手作業。居酒屋時代の道具と、料理人としての長年の経験に基づく勘を生かして、原料を煮るところから瓶にラベルを貼るところまで、丹精込めて丁寧に行っています。

6種類のビールを飲み比べ

それでは、飲み比べも楽しい6種類のビールをご紹介しましょう。
①柏エール
柏市産のコシヒカリを使用した柏エール。手賀沼のほとりのEGUCHI RICE FARMで作られたお米を仕入れています。ビールは、発酵の方法によって大きく「エール」と「ラガー」に分けられます。スッキリとした喉越しが特徴のラガービールに対し、エールビールはフルーティーで豊かな香りが特徴で、味わい深さと飲み応えがあります。
②上昇カブ
日本でトップレベルの生産量を誇る柏市産のカブを使用。「柏の株がもっと上がるように」という願いが込められ、まろやかな味わいに仕上がっています。
➂柏ジンジャー
同じく柏市で古くから盛んに栽培されている生姜を生かした「柏ジンジャー」は、キリッとした後味。柏市のシンボル的な存在として親しまれてきた柏神社から着想を得たのだそうです。
④梨
柏市高柳にある果樹園、フルーツガーデン・イトウで作られた梨を使用。日に焼けてしまったり、傷が付いたりといった理由で市場には出せないものの、味は全く遜色のない梨を無駄にしたくないという想いから生まれました。甘くてジューシーな梨のおいしさを伝えるため、丁寧に皮むきをして梨ジュースを作り、麦汁を抽出してから混合。その手間暇によって、梨の風味をしっかり感じることができます。
⑤ピーナッツ
千葉県といったらやはりピーナッツ! 八街市産落花生の香ばしさが、味に深みをプラスしています。
⑥コーヒー
使用するのはフェアトレードで取引し、千葉県内で焙煎(ばいせん)されたコーヒー豆。麗澤中学・高等学校の生徒たちが東ティモールから仕入れ、柏市にある「自家焙煎珈琲 茶珈香(ちゃかか)」で焙煎した豆か、流山市で立ち上がった「流山コーヒーの森プロジェクト」のコーヒー豆のいずれかを使用しています。「流山コーヒーの森プロジェクト」は、ミャンマーの女性たちが作り上げたスペシャリティコーヒー豆を、流山市内の障害者自立支援施設で焙煎・加工し、地域に販売するという取り組み。黒ビールのような大人の味で、ぜひデザートとのマリアージュを楽しんでほしいビールです。

大切なのは想像力を働かせること

おいしく飲むことで、地産地消やフードロス削減などSDGsに貢献できる柏エール。2020(令和2)年には、千葉県のマスコットキャラクター・チーバくんをラベルにあしらった「チーバくんエール」も発売しました。チーバくんエールの売上金の一部は千葉県に納められ、千葉県にて適切に使われます。
梅崎さんは、お酒造りを通して誰かのためになることを常に考えています。今後もさまざまなプロジェクトを計画中です。
「大切なのは想像力を働かせること」と梅崎さん。
ビールを介してつながっている人たちに思いをはせながら、味わってみてはいかがでしょうか。



「ちいきの逸品」でお酒の取り扱いを開始しました! 柏エールはいずれもアルコール度数5%。「クセのないクラフトビールを目指した」という梅崎さんの言葉通り、苦味も抑えめで飲みやすいため、クラフトビール初心者さんにもおすすめです。
柏ブルワリー本店
住所/千葉県柏市酒井根5丁目2−44
電話番号/04-7175-3811