訪れた国や地域90以上、海外への旅は223回。旅行作家の秋山秀一さんが、自身で撮影した写真とともに、世界の街を歩いた思い出をつづります。

秋山秀一さん
旅行作家、元東京成徳大学教授、NHK文化センター講師。日本エッセイスト・クラブ常務理事、日本旅行作家協会会員、日本外国特派員協会会員。『鎌ケ谷 まち歩きの楽しみ』『世界観光事情 まち歩きの楽しみ』『ウクライナとモルドバ』など著書多数。鎌ケ谷市在住。鎌ケ谷市国際交流協会(KIFA)会長、鎌ケ谷市都市計画審議会会長。

公開 2024/07/27(最終更新 2024/07/24)

編集部

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千葉・埼玉県在住の編集メンバーが、地域に密着して取材・執筆・編集しています。明日が楽しくなる“千葉・茨城情報”をお届けします!!

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古代世界の七不思議 アルテミス神殿

エフェソス
南の門から入り、緩やかな下り坂になっているメインストリートのクレトス通りを歩いていく

ローマ帝国初代皇帝アウグストゥスの時代、トルコ南西部のエフェソスはアレクサンドリア(エジプト)に次いで、東地中海で2番目の都市だった。

エフェソス
床下暖房設備があったヴァリウスの浴場

エジプトのピラミッドなど、「古代世界の七不思議」のひとつに数えられるアルテミス神殿。

この神殿を中心に繁栄した古代都市がエフェソスだ。

その規模はアテネのパルテノン神殿がすっぽり収まるほど壮大だったが、現在、アルテミス神殿の跡には土台と1本の円柱だけが立っている。

エフェソス
「古代世界の七不思議」のひとつ、アルテミスの神殿

ローマ帝国の名残を留める遺跡内を歩く

南の入り口から遺跡内に入り、石畳の道を西へ歩いていく。

左手の広場は上のアゴラで、右手の劇場のような建物がオデオンである。

エフェソス
オデオンは屋根付きの小劇場。会議や音楽会が開かれたこのオデオンの西隣に市庁舎があった

さらに通りを西へ歩いていくと、右に、ローマ時代末期の高名な独裁官スッラの孫でエフェソスに貢献があったメミウスの碑がある。

メミウスの碑の向かいには勝利の女神ニケのレリーフが置かれている。

エフェソス
勝利の女神ニケのレリーフ。もともとはヘラクレスの門を飾るアーチとして飾られていた

その先に、ヘラクレスの門がある。

エフェソス
ヘラクレスの門。クレトス通りの端にあった門。現在残っている2本の柱のうち、向かって左側の柱にヘラクレス像が彫られている

その先のトラヤヌスの泉は、2世紀初めにトラヤヌス帝に捧げられた泉で、三角のファサードが目印だ。

エフェソス
トラヤヌスの泉

お次は美しい彫刻が残るアーチを持つハドリアヌス神殿。

アーチには女神ティケ、奥の正面にメドゥーサが彫られている。

エフェソス
ハドリアヌス神殿。アーチに美しい彫刻が残る
エフェソス
クレトス通りを下っていくと、遺跡の中心部分にあたるところにセルスス図書館が建っている

遺跡全体の中心部分にあたるところに、エフェソスのシンボルともいえる壮麗な建物、ケルスス図書館が建っている。

エフェソス
セルスス図書館。1階はイオニア式、2階はコリント式の柱で造られている。正面の4体の女性像は。知識・学識・聡明・高潔を象徴している
エフェソス
別角度から見たケルスス図書館
エフェソス
マーブル通り。ケルスス図書館から大劇場まで続く大理石の道。アルテミス神殿へ続く聖なる道の一部だった。

マーブル通りを北へ歩いていくと、石畳に足形が刻まれている。

これは古代の広告にあたるものだ。(文・写真/秋山秀一)