服、バッグ、手帳、車までオレンジ色尽くしの高倉かつ江さん。 高倉さんは、オレンジ色が美しいキンセンカの日本有数の生産量を誇る千葉県南房総市で、キンセンカを広めるために効能を生かした商品を作っています。

公開 2025/01/28(最終更新 2025/01/24)

編集部 ゆりか
編集部所属の取材記者。白井市出身、船橋市在住。コンテンポラリーダンス、ヨガ、ズンバ、バレエなどとにかく踊るのが好き。取材執筆も好きだが、地図が読めないため取材前はいつも軽く迷う。食べ盛りの夫と3人の子育てに奮闘中。
記事一覧へ花の生産者が減ってしまった南房総市

南房総市は昔から花作りが盛んな地域。
高倉さんが子どもの頃は、出かけた先から地元の駅に帰って来ると、花の香りがほんのりするほど花畑がたくさんあったそうです。
ところが高齢化などに伴い花の生産者は減り、花畑は激減。
耕作放棄地が増えています。
そのような状況に心を痛めていた高倉さんは、ある時ハーブの本を読んで、「キンセンカが美容と健康にいい」という記事を発見。
仏花としてのイメージが強いキンセンカですが、「美容と健康にいいのならキンセンカを使ったトリートメントオイルを作れないか」と思い立ちます。

地域おこしのために 自ら実験して製作を繰り返す
2009年当時、キンセンカを使ったオイルに関してホームページで調べても詳しいことは出てこず、「それならば」と自分で生の花を使ってオイルを作り始めました。
ところが花がカビだらけになってしまうなど失敗が続きます。
そんな時、食用花を作っている会社に出合い、その会社から乾燥したキンセンカの花びらを仕入れてアーモンドオイルに漬け込んだところ、保湿力に優れたマッサージオイルが出来上がりました。
自身のリラクゼーションサロンでそのオイルを用いて来店者の顔や体のトリートメントをしたところ、肌荒れが改善されたり、足のむくみが取れたり。

「皮膚のガードマン」といわれ、肌トラブルの改善に優れているキンセンカ。
その他にも更年期障害の緩和、粘膜や胃の炎症の緩和、感染症に対する抵抗力を高める働きなど、さまざまな効果があるといわれています。
「どうせだったら体の外からだけでなく、内側からも健康になってほしい。そしてキンセンカで地域おこしをできないか」
そう思い立った高倉さんはキンセンカを使ったクッキー、塩、ドレッシング、ハーブティーなどを作り始めました。


免疫力アップで温活にも 手軽に朝食やおやつで栄養を取れる
2019年には第4回「南房総名品づくりグランプリ」で「きんせん花と生姜(しょうが)のフルーツソース」がグランプリを受賞。

この商品は高倉さんが開発した中でもひときわユニークで、南房総で栽培期間中農薬不使用で育てたキンセンカと、房州ショウガから作ったショウガパウダーがメイン。
寒い時季にはお湯で割れば体の中から温まり、暑い時季にはワインに入れたり、ソーダで割ったりするとオレンジの花びらが美しく、見た目が華やかになります。
そのままジャムのようにヨーグルトやパンケーキ、スコーンにかけても、さっぱりとした酸味とフルーティーな香りが味わえます。
素材にもこだわり、体を温める効果があるてんさい糖を使い、保存料など余計な添加物は使わずに仕上げました。 免疫力アップで温活にも役立ち、朝食やおやつなどに手軽に栄養を足すことができます。

3人の子を育て上げ、自身のサロン運営とキンセンカ商品の開発販売などを掛け持ちし、いつ寝ているのかと思うほどパワフルな高倉さん。
「今が一番充実しています」
70歳まであと5年は仕事を続けたいそう。
その元気の秘訣は、「キンセンカからもらうパワー」と「南房総市のために」という強い意志から来ているのかもしれません。
