近代初頭の地域の景観を今に伝える旧齋藤邸と、竹を知ってもらいたいと始まった竹紙作り。昔ながらの手すきの手法を無料で体験できます。

公開 2025/06/13(最終更新 2025/06/10)

ちいき新聞ライター

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旧齋藤邸と竹林の魅力を伝えたい

東松戸駅から徒歩13分の閑静な住宅街にある旧齋藤邸は、築120年を超えるかやぶき屋根の国登録有形文化財です。

竹紙すき体験 庭園も見応えのある旧齋藤邸
かやぶき屋根の旧齋藤邸。見学は無料、原則予約不要です

約5500平方メートルの広大な敷地内にある工房で、竹紙(ちくし)という希少な紙作りを体験できます。

竹紙すき体験 主屋の裏に広がる竹林
主屋の裏に広がる竹林

竹紙は、竹の繊維を使った中国発祥の紙。

手間がかかるため日本では普及しませんでした。

旧齋藤邸の管理を担う松戸市は、かつて市内在住で竹紙すきに造詣の深い直木賞作家・水上勉氏に教わり、2003年、敷地内の竹林の竹を使った竹紙すきの体験工房を開きました。

紙すきができるようになるまで2年

竹紙作りは、7月頃に若竹をチップにすることからスタート。

タケノコが伸びて枝がわずかに出てきた頃の竹が最適です。

そのチップを石灰水に1、2年漬けて腐らせ、鍋で数時間煮て、臼で突いて繊維を取り出し、ミキサーで細かくします。

その繊維を水で溶いて木枠で挟んだ網ですき、数日間陰干しして完成。

竹を切ってから紙ができるまで2年かかる計算ですが、体験では用意された繊維を使うので、10分ほどで気軽に楽しめます。

竹紙すき体験 はがきサイズの竹紙を作って当日持ち帰れます
はがきサイズの竹紙を作って当日持ち帰れます

竹紙は生成りに近い、淡いクリーム色。浮き出た竹の繊維が表情豊かで、書き味も抜群です。

「完成した時の風合いを見た時、面白さを感じます。『世界に一枚だけの紙ができた』と、皆さんが喜んでくれるのもうれしいですね」と管理人の来栖 隆さん。

竹紙すき体験 庭園の紅葉などを用いて季節感を演出も
庭園の紅葉などを用いて季節感を演出も

昔から竹はあらゆる生活用品に用いられた身近なもの。

竹紙作りを通して、いにしえの知恵と自然の力を感じてみては。(取材・執筆/なかゆう)

旧齋藤邸 竹紙房 紙すき体験
日時/毎週土曜日 午前10時~午後3時30分
住所/千葉県松戸市紙敷588
料金/無料(7日前までに予約が必要)

問い合わせ
電話番号/047-382-5570 松戸市文化財保存活用課
※旧齋藤邸の見学は原則予約不要(日・月曜・祝日、年末年始除く)
松戸市ホームページ/https://www.city.matsudo.chiba.jp/kyouiku/bunka_shakai/bunkazai/kominkakyusaitoutei.html
予約(松戸市オンライン申請システム)/https://lgpos.task-asp.net/cu/122076/ea/residents/procedures/apply/611c92e6-71ac-432e-8301-bf7834870910/start