千葉県といえば「落花生」。千葉県にはおいしい落花生がたくさんあるからこそ、いざ他県の人からおすすめや味の違いなどを聞かれると、意外と答えに詰まってしまうことがあります。

ですが、自分の好みや「通」の食べ方を知っていると、さらに味わい深いもの。今回取材した「オオノ農園」は、千葉県が誇る落花生の魅力を再発見させてくれました。

公開 2025/07/16(最終更新 2025/07/04)

広田 みずほ

広田 みずほ

埼玉県生まれの千葉県民。地域新聞社で広告の企画営業、編集部を経て現在広報担当。好きなものは東南アジアとハイボール。勝田台駅周辺の酒場放浪記を書きたい。★X(旧Twitter)★@tahirom2

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「落花生は土が命」甘みやコクを生むこだわりの土作り

代表取締役の大野俊江さんと営業部長の大野雄一郎さん

千葉県香取市の豊かな大地で、大正時代から代々農業を営むオオノ農園。現在は、代表取締役の大野俊江さんと夫の和雄さん、長男の雄一郎さんを中心に落花生を作っており、俊江さんが3代目に当たります。

オオノ農園がある栗源(くりもと)地区は、明治時代に開墾が進められた地域です。サツマイモの名産地となっており、かつてはオオノ農園でも主にサツマイモを作っていました。しかし、俊江さんが東京の朝市に出店した際、「千葉といえば落花生でしょう。落花生は持って来ていないの?」と言われたことが一つの転機となります。要望に応えて持参してみると、新鮮な千葉の落花生はとても好評でした。

「地元にいたらその価値に気付かなかったのですが、東京の人からすると『千葉=落花生』なんだなと。それで、千葉県を代表する落花生作りに専念することにしました」と俊江さん。サツマイモをはじめとする根菜類の栽培に適した栗源地区の土壌は、落花生にとっても良い条件がそろっています。石の少ないふかふかの赤土が、肥料をしっかり吸収してくれるのです。

「落花生の味を左右するのは土。土作りをしっかりやらないと、味に反映されません」と語るのは雄一郎さん。独自ブレンドの肥料による土作りにこだわり、香り・甘み・コクの三拍子がそろった落花生を育てています。また、収穫した落花生を、畑ではなくハウス内で乾燥・保管しているのもオオノ農園ならでは。雨風を防ぐことにより、高い品質を保てるためです。

香取市内の50カ所以上に点在するオオノ農園の落花生畑

毎日の健康と美容に「落花生100%ペースト」

落花生100%ペースト

オオノ農園では、落花生の栽培だけでなく、ゆで落花生・いり落花生などへの商品化(2次産業)、全国への流通・販売(3次産業)まで行い、6次産業化を進めてきました。そこには、「栄養価の高い落花生を、もっと日常的に食べてほしい」という俊江さんの強い思いがあります。

最初に開発したのは、100%落花生のみを使用したピーナツペースト。砂糖や添加物は一切入っておらず、自然のうまみが凝縮されています。驚くほど濃厚で香ばしい風味が特徴で、パンやバニラアイス、ヨーグルトなどと相性抜群なのは言うまでもありませんが、練りゴマのようなイメージで調味料として活用することも可能。あえ物、担々麺、うどんやそうめんのつゆなど、アイデア次第で無限に広がる可能性を楽しめます。

ビタミンやミネラル、食物繊維などが豊富で、抗酸化作用が期待できるといわれている落花生。ペーストであれば、子どもから高齢者まで手軽に日々の食卓に取り入れることができます。俊江さんのイチ推しは、おみそ汁に溶いてコクをプラスする食べ方だそうです。

この他、「千葉県産Qなっつ落花生ぜんざい」も人気商品。軟らかく煮た「Qなっつ」を砂糖とほんの少しの塩のみで味付けしており、素朴で優しい味わいです。ポリフェノールが多く含まれる渋皮ごとおいしく食べられるのが魅力。夏は冷やして、冬は電子レンジで温めていただくのがおすすめです。

甘過ぎず、飽きのこない千葉県産Qなっつ落花生ぜんざい

食べ比べも楽しい、各品種の特徴

オオノ農園の人気詰め合わせセット

現在、オオノ農園で栽培している落花生の品種は「千葉半立(はんだち)」「Qなっつ」「郷の香(さとのか)」の3種類。

千葉半立は、香り高く、食べた後の余韻が長く続く「千葉落花生の王道」ともいえるブランド品種です。その深い味わいは、県内外に根強いファンを持っています。

Qなっつは、千葉県が20年の歳月をかけて開発した新品種。名前は「Pナッツを超える味」という意味で名付けられました。口に入れた瞬間に広がる甘みと食べやすさが特徴で、2018年にデビューした新品種ながら、その評判は全国に広まりつつあります。

いり落花生に適したこの2種に対し、郷の香は塩ゆですることによってそのおいしさが引き立つ品種。オオノ農園では、ゆで落花生用に栽培しています。

食べ比べてみると、それぞれに違った個性があることが実感できます。

また、若い世代や観光客にも手に取ってもらいたいと、かわいらしく親しみやすいパッケージデザインになっており、贈り物や手土産にもぴったりです。

「もっと多くの人に、千葉の落花生のおいしさと健康効果を知ってもらいたい」と語る大野さん親子。今後も新商品の開発に意欲を燃やしています。

落花生本来の魅力を引き出すオオノ農園のこだわりを、ぜひ一度体感してみてください。あなたのお気に入りの味がきっと見つかるはずです。

取材担当おすすめポイント

無糖の落花生ペーストを料理に活用するというのは新感覚でした! とろ~っとなめらかで使いやすく、ヘルシーなのもうれしいところ。バターの代わりなどに愛用しています。

株式会社オオノ農園
住所/千葉県香取市高萩512-3
電話番号/0478-75-1123