昭和学院の校舎は近代的な建築ですが、敷地内北寄りにある創立記念館は和洋折衷住宅。

真間川遊歩道を散策する人々の目を引く昭和の保存住宅です。

公開 2025/07/20(最終更新 2025/07/14)

ちいき新聞ライター

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昭和学院創立者の住宅建築が始まり

国登録有形文化財 昭和学院創立記念館
昭和学院創立記念館

昭和学院(東菅野2-17-1)の敷地内にあるこの建物は、元々1931(昭和6)年に同学院創立者である伊藤友作氏の自宅として、千葉市に建築されました。宮大工が建てたとの言い伝えがあることから、新築ではなく寺院の付属建物のようなものを移築改造したと考えられています。

国登録有形文化財 昭和学院創立記念館
寺院のような二階部分の造り

その後、43年に市川市の現在地近くに移築。建物の2階建ての部分は和風を主体とした建築ですが、東側には平屋が付け加えられ、本格的な洋風の造りになっており、しゃれた出窓とシャンデリアが設けられています。

国登録有形文化財 昭和学院創立記念館
洋間部分外観
国登録有形文化財 昭和学院創立記念館
洋間のしゃれた出窓

67年まで創立者の住居として使用されていましたが、68年、創立者夫人の死去に伴い建物は学院に寄贈。学校施設として活用するため、大掛かりな工事を経て「昭和学院創立記念館」に生まれ変わりました。

国登録有形文化財 昭和学院創立記念館
昭和学院創立記念館

歴史的建造物のその後

学院の施設として活用されるようになった記念館は、接客など各種用途に使用。

国登録有形文化財 昭和学院創立記念館
接客施設としての洋間

創立40周年記念式典(1980年)に際し傷んだ箇所を修復した後は、茶道などサークル活動の場として活用されています。

国登録有形文化財 昭和学院創立記念館
茶道サークルの稽古場

その後も移築(曳家)(ひきや)や保存修理が行われ、構造補強も施されてきました。

質実剛健な和風住居部分と洋風の接客施設を併せ持つ、昭和戦前期の住宅としての価値が認められ、2011年に登録有形文化財に指定されました。

国登録有形文化財 昭和学院創立記念館
登録有形文化財
国登録有形文化財 昭和学院創立記念館
本格和室の飾り棚
国登録有形文化財 昭和学院創立記念館
書院欄間と書院障子
国登録有形文化財 昭和学院創立記念館
麻の葉の欄間

国登録有形文化財 昭和学院創立記念館
施設内の和風庭園

※建物は一般公開しておりません。

(取材・執筆/平田涼)