千葉県商工会議所連合会会長、千葉銀行 前取締役頭取
生年月日/1952年10月1日
出身地/千葉県君津郡中郷村(現木更津市)
趣味・特技/音楽鑑賞、ガーデニング、読書
公開 2025/08/05(最終更新 2025/08/19)

インド・ムンバイ同時多発テロでの壮絶な体験
2008年11月。当時、国際部門の担当役員であった私は、お客様訪問のため香港支店長と職員1名と一緒にシンガポール経由でインドへと飛んだ。ムンバイ空港から車でホテルに向かう間にも、カレーと牛のふんのにおいが漂い、信号で止まると売り子が近寄ってくる。日本とのあまりの違いに、驚きの連続だった。ムンバイに到着したのは、テロが起こった26日当日。オベロイホテルに着いてシャワーを浴び、お昼はタージマハルホテルでカレーを食べた。
夕ご飯は違う場所で、ということになり現地の店で食べたのだが、もし夜もテロリストのターゲットとなったタージマハルホテルで食事をしていたら、そこで絶命していたかもしれない。
工事と思った音は実は銃撃音だった
夕食を済ませ、ホテルに戻ってきたのが夜9時40分頃。翌日の飛行機の確認をして、12階の部屋に引き上げたのが9時50分。そろそろ寝ようかと準備していたら、10時頃にタタタタという音が聞こえてきた。最初はまさか銃の音とは思わず、工事の音かと思ったが、こんなに夜遅くに工事をやるのも変だし、音も止まらず不安が増してきた。香港支店長が「私が見てきます」と外に出て行き、「吹き抜けを上からのぞいたら、人質を連れたテロリストが2人いて、銃撃された」と電話連絡があった。一瞬凍りついたが、とにかく部屋から出ないようにしようと仲間と言い合った。お酒も入って気が大きくなっていた私は、もしテロリストが部屋に入ってきたら「ジャパニーズ、マネー、プリーズ」と言って手持ちのルピーを渡したら許してもらえるだろう、などと考えていた。その時である。火災報知器の音が突然鳴り響いたのは。
