旧神谷伝兵衛稲毛別荘公開から35年を記念して、千葉市民ギャラリー・いなげ企画展「神谷別荘の見てきた景色〜文化財の保存とこれから〜」が開催されます。

公開 2025/08/01(最終更新 2025/08/19)

ちいき新聞ライター

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海辺の保養地稲毛に多くの文人が

明治時代中期、稲毛は鉄道の開設と相まって海水浴や潮干狩りの観光客も多くなり、旅館や別荘が建てられ保養地として知られる地域でした。

日本にワインや洋酒文化を広めた実業家、神谷伝兵衛は1918(大正7)年に別荘をこの地に建てました。

大正7年に建てられた洋館建築が語る稲毛周辺の今昔 国の登録有形文化財を未来の人々へ【千葉市稲毛区】
昭和20年代の旧神谷伝兵衛稲毛別荘(個人蔵)

いわば神谷別荘はこの地域の変遷を百年余りにわたり見続けてきたわけです。

昔は神谷別荘のすぐ近くに海岸線がありました。

海が埋め立てられたことによって次第に現在の稲毛の様子に。

企画展では、かつての海辺の様子やこの地域の歴史を、現在残されている写真や資料を基に振り返ります。

大正7年に建てられた洋館建築が語る稲毛周辺の今昔 国の登録有形文化財を未来の人々へ【千葉市稲毛区】
明治後期から昭和初期の稲毛海岸の眺め

文化財の魅力を地域社会の未来に

神谷別荘は全国的に見ても早い時期に作られた鉄筋コンクリート造りで、千葉市に現存する数少ない近代建築です。

大正7年に建てられた洋館建築が語る稲毛周辺の今昔 国の登録有形文化財を未来の人々へ【千葉市稲毛区】
現在の旧神谷伝兵衛稲毛別荘

ここは戦前、ラストエンペラーで有名な愛新覚羅溥儀の妹夫妻が暮らし、戦後は米軍将校の住居として使われるなど、さまざまな所有者に受け継がれてきました。

千葉市に寄贈された後、1997(平成9)年に国の登録有形文化財(建造物)に登録されました。

企画展を通して神谷別荘と地域のつながりを知ることは、この文化財を次の世代に受け継いでいくための第一歩になるかもしれません。

(取材・執筆/Jack)

大正7年に建てられた洋館建築が語る稲毛周辺の今昔 国の登録有形文化財を未来の人々へ【千葉市稲毛区】
企画展チラシ

会期/8月6日(水)~17日(日) ※8月12日(火)休館
   午前9時~午後5時15分 ※最終日は午後3時まで
会場/千葉市民ギャラリー・いなげ2階 第1・2・3展示室
住所/千葉県千葉市稲毛区稲毛1-8-35
観覧料/無料

問い合わせ
電話番号/043-248-8723
千葉市中学校美術部展同時開催。詳細はホームページで!
ホームページ/https://galleryinage.jp/kamiya/