近年、地震や台風だけでなく、猛暑・寒波・豪雨といった異常気象が日常化しています。こうした中で家に求められるのは、日常も非常時も、家族の命と健康を守る力です。
教えてくれたのは…

石井隆昭さん
公開 2025/08/27(最終更新 2025/08/25)

見えないからこそ気にかけたい性能
家を建てるとき、「地震に強い家」「台風に耐えられる家」など、構造の強さに注目する人は多いと思いますが、暑さ寒さに左右されず、空気がきれいで快適に過ごせることも大切なポイントです。
快適性は住むほどに実感するものなのでスタートが肝心。
それは非常時にも家族を守れる性能を備えていることにつながります。
しっかり考えたいのが、「気密性」「断熱性」「通気性」の3つのバランス。


気密性が高いと、隙間風や湿気、ホコリの浸入を防ぎ、家全体の温度と湿度を安定させることができます。
また、湿気の影響も受けにくいので、結露や劣化を抑えられます。
断熱性がしっかりしていれば、一定の室温を保ちやすく、冬は暖かく、夏は涼しい空間がつくれます。
光熱費の節約にもつながりますね。
万が一、災害で電気やガスが止まっても、室温の急激な変化を抑えられるため、命を守る力に。
そして、気密・断熱性能が高いほど、健やかな空気環境を保つためには計画的に換気を行うことが大切です。
適切に空気を流すことで、結露の原因となる湿気もまとめて排出ができ、家の寿命と家族の健康を守ってくれます。
使う建材も重要なジャッジポイント
外観デザインや価格も大事にしたい家づくりの一要素ですが、「命を守る性能」を持っているかどうかをしっかりジャッジしてください。
見た目やコストを優先し過ぎると、本質的な部分が後回しになり、災害時に大きなリスクを抱える可能性があります。
この観点で頼れるのが、建物の断熱性能を高め、快適な温熱環境を維持するために用いられる「断熱パネル」。
熱の伝達を遅らせたり、気密性を高めたりすることに非常に有効な建材で、エネルギー効率や居住性の向上に重要な役割を果たします。

外壁や内壁をはじめ、天井や屋根、床下などあらゆる場所に使われます。
パネルにもたくさんの種類があり、一例を挙げれば、真空技術を利用して厚みを抑えつつ高い断熱性能を持ったものや、木枠と断熱材の一体成型構造で断熱性と気密性を保ち、耐久性と耐震性を備えたもの(※)などさまざま。
家族を守る家づくりに重要な要素としてのジャッジポイントになります。

目的に見合った建材で家づくりがかなうかの観点も忘れずに住宅メーカーに相談をするとよいでしょう。
家は「日常の快適さ」と「非常時の安心」を両立できる場所でありたいものです。