1866(慶応2)年創業の老舗ながら、地元で愛されてきたために、千葉県内でも君津市周辺以外にはこれまであまり出回ることのなかった宮崎酒造店の日本酒。
2023年に株式会社穴太(あのう)ホールディングスの傘下に入り、事業継承を果たしたことにより、150年以上の伝統を受け継ぐ新商品「makuake」と、リニューアルした代表銘柄「峯(みね)の精」が世界へと羽ばたき始めました。
公開 2025/09/17(最終更新 2025/09/05)

「日本酒を、もっと身近に、もっと楽しく。」

千葉県君津市の宮崎酒造店は、米どころ小櫃(おびつ)平野を望む高台に位置します。上総丘陵から湧き出る「久留里の生きた水」は、2008年に千葉県で唯一「平成の名水百選」に選ばれており、その恵みを生かして酒造りを続けてきました。酒蔵の傍らには、樹齢800年と伝えられるご神木・スダジイがあり、今も蔵人たちを見守っています。
宮崎酒造店の看板銘柄といえば「峯の精」。1979年・1986年・1993年の先進7カ国(G7)東京サミット乾杯酒に選ばれた「吟の舞」「ぎんから」を中心に、伝統製法を守る「粋な地酒」として支持されてきました。地元・上総地区では、普段の食卓から祝いの席まで、多くの人に寄り添ってきた味です。
150年以上にわたり家族経営でその技を受け継いできた宮崎酒造店は、2023年、次世代へとバトンをつなぐべく、葬祭業や食品加工、農業生産や米穀販売などを多角的に展開する異業種グループ法人・株式会社穴太ホールディングスの傘下に。6代目当主と代表取締役の戸波昇さんの下、持続可能な新体制を整えました。
「日本酒を、もっと身近に、もっと楽しく。」というテーマを掲げ、伝統を守りながら新たな挑戦をスタートしています。

人生の幕開けを彩る「makuake」と進化を遂げた名酒「峯の精」

再始動した宮崎酒造店を象徴する第1弾商品として造られたのが、「峯の精 makuake 純米大吟醸」。その名の通り、人生のさまざまな「幕開け」と共にありたいという思いを込めた一本で、成人、就職・転職、結婚といったお祝いはもちろん、友人との再会や自分へのご褒美などの「ちょっと特別な時間」にもぴったりな味わいです。
精米歩合50%まで磨き込み、さらっとした喉越しとすっきりした後味に仕上げています。「普段日本酒を飲まれない方にとっても、日本酒の面白さを知る『入り口』となるよう、圧倒的な飲みやすさを追求しました」と戸波さん。辛過ぎず甘過ぎず、飲み疲れしない絶妙なバランスには、きっと日本酒好きもビギナーも心をつかまれるのではないでしょうか。
戸波さんは、「幅広い料理とマッチしますが、白ワイン感覚で魚介系のパスタなどと合わせてみるのもおすすめです。通常日本酒が飲まれないようなロケーションでも、自由に楽しんでいただければ」と話します。
ラベルのモチーフは、鹿野山九十九谷(かのうざんくじゅうくたに)に広がる幻想的な雲海と朝焼け。贈答用としても喜ばれるデザインになっています。

さらに、地元で愛され続ける「峯の精」もリニューアル。「峯の精 No.01 純米大吟醸」「峯の精 No.02 大吟醸」「峯の精 No.03 旨辛吟醸」の3種類がラベルの装いを新たにし、手に取りやすい300mlの小瓶で新発売されました。香り高くソフトな味わいの純米大吟醸、長年一番人気を誇るフルーティーでまろやかな大吟醸、コクのある飲み口の辛口吟醸酒を、ぜひ飲み比べてみてください。

地域と共に歩みながら世界へ

未来を切り開く「makuake」と歴史を守る「峯の精」は、地域に根差しながらも日本酒の魅力をより広く伝えていこうとする宮崎酒造店の姿勢そのもの。

原材料の調達にはグループ会社の米専門店や農業生産法人とのシナジーを生かし、千葉県と北海道の自社農場で育てた良質な酒米を自家精米しています。「グループとしては農家でもあるので、米で勝負していきたい」と語る戸波さん。酒米の他に、食味に優れた主食用米での酒造りにも挑戦中です。「田んぼから瓶詰めまで全て自分たちの手を通し、『テロワール』を感じていただけるような日本酒を目指している」と話します。「テロワール」とは一般的にワインの世界で用いられるフランス語で、自然環境だけでなく、それを取り巻く人々の営みも含んだ、その土地の個性や魅力を指す言葉。上総の地を愛し愛されてきた宮崎酒造店に、柔軟な感性が加わったからこそ描ける、日本酒の新しいあり方です。
また、海外への展開も視野に入れ、販路拡大に取り組んでいるとのこと。戸波さんは、「君津だけでなく、千葉県全体の地酒のおいしさをもっと知ってもらいたい」と意欲を見せます。
宮崎酒造店は、「今夜のはじめの一杯」に日本酒を提案しています。和食だけでなく、洋食や中華と合わせたり、ワイングラスで楽しんだり…味わい方は無限大。千葉県の大地と伝統が育んだ日本酒で、乾杯してみませんか。

取材担当おすすめポイント
「日本酒を飲んだことがない」という若手女性社員と、「makuake」と「峯の精」3種を飲み比べてみました。さすがは150年以上前から飲みやすさにこだわってきた宮崎酒造店。初めての彼女にも、日本酒のおいしさと魅力を教えてくれたようです。
株式会社宮崎酒造店
住所/千葉県君津市戸崎1780番地
電話番号/ 0439-35-3131
