難聴は、老化現象の一つ。放置すると日常生活の不便だけでなく、疎外感や孤独感の原因にも。そんなお悩みを解決するのが補聴器です。
お話を聞いたのは

補聴器先進国であるデンマークの企業「デマント」が運営する補聴器専門店の店長。接客時は、相手がリラックスできるよう、雑談も交えてコミュニケーション。
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公開 2025/09/10(最終更新 2025/09/08)

「聴こえない」と世界が閉じる
耳が聴こえづらいと、人との会話が楽しくなくなります。
耳からの情報を正しくキャッチできないため、「世界が閉じていく」ような感覚に。
「聴こえ」をサポートする補聴器は、世界を広げるツールといえるでしょう。
聴覚が低下するスピードには個人差がありますが、75歳を超えると聴こえづらさを自覚する人が増えてきます。
年を取ったり、騒音の多い環境で長時間過ごしたりすると、内耳にある「蝸牛(かぎゅう)」という器官の有毛細胞が減少し、「感音難聴」を引き起こします。
「感音難聴」は小さな音が聴こえない、大きな音が響く、聴こえても言葉の意味が分からないといった症状が特徴。
これらの症状は、補聴器の使用で改善することができます。

迷わずにまずは医療機関を受診
聴こえにくい状態を放置すると、脳の言葉を処理する能力がどんどん衰え、認知症のリスクが高まります。
下のチェックリストで1つでも当てはまるものがあれば、耳鼻科もしくは補聴器専門店に相談しましょう。
ちなみに「感音難聴」の他、外耳や中耳の損傷、耳あかの詰まりなどが原因の「伝音難聴」の可能性もあり、その場合は医療的な処置が必要となります。
当店に来られる理由で一番多いのは、「テレビのボリュームが大きくなった」。
その他、「病院で呼ばれても気づかない」「病院で先生の声がよく聞こえない」「言葉を聴き返すことが増えた」なども、聴こえづらさを自覚するきっかけになるようです。
なお、聴覚は徐々に衰えていくため自分で気づくことが難しいケースもあります。
家族や周囲の人が気にかけておくことも大切です。
チェックリスト1つでも当てはまれば受診を
□ 家族や友人との会話に不自由を感じる
□ テレビやラジオのボリュームが大きく、家族に注意される
□ 会議などでの複数人の会話が聴き取れない
□ 電話の声がよく聴こえない
□ 単語の聞き間違いが増え、会話がかみ合わない
□ 病院や銀行の待合で、自分が呼ばれても気づかない
□ 騒がしい場所だと会話ができない
□ 後ろから話しかけられると気づかない
専門知識のあるお店で購入を
補聴器の効果を得るために重要なのが、フィッティング(調整)です。
補聴器専門店では聴覚検査のデータを基にその人の聴こえ方に合わせて、補聴器を調整します。
快適な「聴こえ」を提供するためには、言葉を聴き分ける能力を測る「語音弁別測定」がマスト。
これにより「音は聞こえるけど言葉の意味が分からない」という状態を改善できます。
実際に装着して日常生活を送ると、不具合が出てくる場合もあります。
まずは1日数時間から、少しずつ装着する時間を長くしていき、専門店の担当者と相談しながら調整を重ねます。
レンタルサービスを行っている販売店もありますので、上手に活用するといいですね。
決して安価なものではない上に、商品の特性上「買って終わり」ではないので、信頼できるお店で購入するのがポイントです。
認定補聴器技能者は、厳しい審査基準の下、補聴器に関する知識や技能を習得した人にのみ与えられる資格です。
補聴器販売店を選ぶ際には、認定補聴器技能者がいるかどうかを参考にすると安心ですよ。