「いつまでも元気で生き生きと過ごしたい」と思う時、そこには「何でもおいしく食べられる」「笑顔で人とおしゃべりが楽しめる」があるはず。その鍵は「オーラルフレイル予防」です。

お話を聞いたのは

Chihiro Shiga
守谷あまぐり歯科 院長 志賀 千尋さん
「歯の保存」を専門に茨城県守谷市で地域密着診療を展開

公開 2025/09/10(最終更新 2025/09/09)

編集部 信太

編集部 信太

千葉県初心者、編集部所属の取材記者です。おいしい珈琲を飲ませないとポンコツです。読み方はシンタでもノブタでもご自由に♪

記事一覧へ

口の機能低下が引き起こす負の連鎖

オーラルフレイルという言葉を知っていますか。

直訳すると「お口の虚弱(衰え)」という意味です。

お口の機能が衰えると「かめなくなる」、かめないので「柔らかいものばかり食べる」ようになり、ますます「かむ機能が低下する」から、さらに「かめなくなる」という負の連鎖が起こります。

そしてお口の機能低下は心身の機能の低下を引き起こします。

バランスの良い食事が取れないことで低栄養を引き起こし、筋力が弱って運動不足になり、好きなものが食べられないことで気持ちが落ち込み、外食が楽しめないために人と会う機会が減り、それらが認知機能の低下を引き起こすなど、高齢期のあらゆる健康問題とリンクするのです。

しかし、オーラルフレイルは高齢期になっていきなり起るものではなく、若い時から徐々に進行していくもの。

決して高齢者だけの話ではありません。

そして、オーラルフレイルとは「お口に関する『ささいな衰え』が重複し、お口の機能低下の危険性が高まっているが、改善も可能な状態」のことをいいます。

この、「ささいな衰え」を防ぐために若い時からのケアが大切です。

かかりつけ歯科で定期的に検診を

日本人のオーラルフレイルを引き起こす最大の要因は、むし歯と歯周病です。

その原因となるのが、歯の表面に付着した歯垢(プラーク/細菌のかたまり)です。

歯垢は毎日のブラッシングで除去できますが、奥歯や歯と歯の隙間など磨きにくい箇所などで放置されると「歯石」に変わり、歯ブラシで取り除くことができなくなり、歯科での除去(スケーリング)が必要となります。

歯石ができてしまわないように歯の健康を保つためには、かかりつけの歯科を持ち、健康な人なら3か月に1度のペースで定期検診を受けるようにしましょう。

高齢者にとっても、かかりつけ医に定期的に検診に通うことは、孤立を防ぐことにつながります。

特に会社勤めを終えた男性などは、社会性が減ることでお口の機能が一気に衰える傾向にあります。

人と会っておしゃべりや食事を楽しむこともお口の機能維持に効果的で、逆に滑舌の悪さ、口臭、むせるなどの「ささいな衰え」がその楽しい機会を遠ざける原因にもなります。

オーラルフレイルを予防して健康長寿をかなえましょう。

オーラルフレイルセルフチェック

□ 半年前と比べて固いものが食べにくくなった
□ お茶や汁物でむせる、食べこぼすことが増えた
□ 自分の歯が少ない(19本以下)
□ 口の渇き、口臭が気になる
□ 滑舌が悪い

2つ以上に当てはまる場合はオーラルフレイルに該当します。かかりつけ歯科医に早めに相談しましょう

パタカラ体操

舌の動きは食べる、飲み込む機能に直結します。

パタカラ体操は唾液の分泌も促すので、食事の前に行うといいでしょう。

「パパパパ…」「タタタタ…」と、それぞれの発音を8回連呼×2セット行います

パタカラ体操

「パ」唇をはじくように

パタカラ体操

「タ」舌先を上の前歯の裏につけるように

パタカラ体操

「カ」舌の奥を上顎の奥につけるように

パタカラ体操

「ラ」舌を丸めるように