千葉市初のトリエンナーレ、千葉国際芸術祭2025。アーティスト宮本はなえさんの、福祉に焦点を当てたアートプロジェクトを紹介します。
公開 2025/09/24(最終更新 2025/09/16)

「ち」形のモニュメントに色を
千葉市で初めて行われるトリエンナーレ(3年に1度開催される芸術祭)、千葉国際芸術祭2025。
9月19日の集中展示に向け、32組のアーティストによる参加型アートプロジェクトが進行しています。
その中の一つである、アーティスト宮本はなえさんが手がける「ちから、ちへ」。
芸術祭のロゴマークである、平仮名の「ち」をかたどったモニュメントに、障害のある仲間たちが彩りを加えていくというもの。
10カ所の障害福祉施設でワークショップを開催しています。

障害者福祉施設でのワークショップ
この日訪れたのは、トミオヴィレッジ高品内「アトリエひふみよ」。
参加者は9人。
発泡スチロールでできた、高さ約1メートルの「ち」形モニュメントに、まずは下地となる色をローラーで塗っていきます。
そのあとは思い思いに絵を描いたり、絵の具を散らしたり、文字を書いたり。

宮本さんは、形にとらわれず自由に楽しそうに描いている人たちを、笑顔で会話をしながら見守っていました。

「ち」に込めた福祉と社会への思い
宮本さんが障害者施設に転職したのは、2019年の8月。
当時「アートを好きな人が多いが、どう作品にしていいか分からない」という施設での悩みを、美大で培ったスキルを生かし、アート活動へ導いたとのこと。

「私は描かせようとしたことはありません。画材を渡し、使い方を教え、あとは思うがままに描いてもらっています」
障害者施設でのアート活動について、「とても意味があるものだと思っています。自由に言葉を使えない人でも、絵だと表現できる。みんな世界を持っていて、絵を描いて見てもらうことで、こういうことを考えているんだというのが分かる。コミュニケーションツールだと思っています」と話します。
今回のプロジェクトについて、宮本さんは「彩られた『ち』が街に展示されることで、障害のある人が近くに住んでいることを知ってもらいたい。
福祉と社会の架け橋になれれば」と強い思いを語ります。

さまざまな思いを乗せた「ち」形のモニュメント。
街で見かけることで、福祉を知るきっかけづくりになることが期待されます。
集中展示・発表/9月19日(金)~11月24日(月・休)
詳細・設置場所はHPにて/https://artstriennale.city.chiba.jp/