「ひかるん」の愛称でブースターから親しまれている人気者、二上選手。復活した彼の飛躍がチームの鍵を握ります。今季にかける思いを聞きました。

公開 2025/10/08(最終更新 2025/10/07)

編集部 R
「ちいき新聞」編集部所属の編集。人生の大部分は千葉県在住(時々関西)。おとなしく穏やかに見られがちだが、プロ野球シーズンは黄色、Bリーグ開催中は赤に身を包み、一年中何かしらと戦い続けている。
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中堅選手はお得なポジション!?
―チームが始動したところですが、ご自身の調子はいかがですか?
全体練習が始まってから軽いけがをして別メニューだったんですが、もう少しで復帰できると思います。そこから仕上げていくので、シーズンに入ったら期待してください。
―特別指定選手時代も入れると、ジェッツに加入してもう5年目ですね。
(過去の記事を出して)これは2022年のシーズン決起会の記事なんですけど、覚えていらっしゃいますか?
あ~、懐かしい。

―この時は「勝利のジェッツ締め」担当に就任したり、ジャンボくんのお世話係も任されたり、何でもかんでも振られていましたよね。
そんな感じでしたね。
―その後、後輩が次々に入ってきて、あっという間に中堅選手になった印象ですが、今はどんな立ち位置でいらっしゃいますか?
後輩からしたら、ちょっとしたお兄ちゃん的な存在でもあるし、逆に先輩方からは弟のようにお世話をしてもらっています。一番得しているポジションです!
―同学年はいなくなりました?
新加入のナシールが同級生の年代ですね。

あと、(瀬川)琉久のお兄ちゃんは僕の高校(北陸高校)の同級生で、琉久のことは小学生ぐらいの頃から知っているので、お兄ちゃんみたいな感覚で見てるんだろうなとは思います。
―中堅として役割的に意識することはありますか?
もう自分のことだけ考えていればいいという立場ではないので、後輩への声かけも積極的にしていきたいですね。僕も先輩方からアドバイスをいただくので、それを後輩にしっかり伝えていきたいです。

―チームで一緒に行動することが多いのは誰ですか?
ブルースとは、けがのタイミングが重なったのでよく話します。
原さん田代さんとプライベートでご飯に行ったり、文男さんとも仲良くさせていただいていて。まあ、みんな結構仲いいですよ。
―昨日アップされたジェッツチャンネルの「オフたび」の動画では相変わらず、めちゃくちゃいじられていましたね。
一番いじってくるのは誰ですか?
みんないじってきますけど、最近は田代さんが多いですね。
―どんなことを言ってくるんですか?
僕は割と食事に気を使っているので、そういうネタが多いです。
―そういえば動画でも「耀はラーメンなんか食べないだろ」って言われていましたね。
たしかにラーメンのような脂っぽいものはあまり食べないです。焼肉も好きで行きますけど、カルビは食べられない。タンとハラミが好きですね。もともと胃がそんなに強くないので、脂物を避けたり、商品の裏に書いてある成分表示をチェックしたりします。
―他に、「食」で意識していることはありますか?
体にいい、自然に近い素材のものを摂りたいなという思いはあります。

―ジェッツ以外で仲の良い選手は?
(大倉)颯太(アルバルク東京)、(佐藤)卓磨さん(名古屋レッドダイヤモンド)、ラッシー(ラシード ファラーズ:京都ハンナリーズ)は仲良いかな。みんな違う場所に住んでいるので、全員集まっての食事はなかなかできないですけど、颯太とは結構行きますね。
つらいリハビリの日々を乗り越えて…周囲に感謝
―同級生の大倉選手は同時期にジェッツに加入。どんな存在ですか?
ジェッツからオファーを受けた時、迷っていた僕の背中を押してくれたのが颯太。「絶対に成長できるから行こう」と言われ、決心しました。
加入後、二人ともほぼ同じ時期にけが(前十字靭帯断裂、以下ACL断裂)をして、リハビリの時期も一緒だったんですよね。本当に長い期間。普通にバスケをしていても、なかなかできる経験ではない。そういうつらい特別な時期に、同じ時間を共有したということが、互いの支えにもなっていますし、そういう意味でも特別な存在なのかなと思います。
―長期のリハビリ期間中、何が一番つらかったですか?
本当にいろいろありましたけど、「けがをしたことを受け入れること」、それが一番つらかった。けがしてしまったことは仕方ないけれど、けがしたくてしたわけではないので、受け入れるのにはそれなりに時間がかかりました。
―もうやめようと思ったことはありませんでしたか?
僕、大学生のときに一度ACL断裂を経験しているんです。ジェッツに入団して2023年1月にも同じけがをしたのですが、その時、「次にまたやったらさすがにもう頑張れない。そうなったら引退しよう」と思っていました。
それが現実になってしまい(同年11月)、本当に辞めようって思いました。
―そこから考え直して「辞めるのをやめる」に至った心境の変化はどこから?
千葉ジェッツの優秀なスタッフの皆さん、社長やGM、みんなが「耀、頑張ろう」と声をかけてくれたことに尽きると思います。
―リハビリを続けられた原動力は?
ブースターの皆さんからの「(復帰を)待ってるよ」という声援は本当に励みになりましたし、パフォーマンスチーム(主に選手の体のケアを担うチームスタッフ)の皆さんは、ほぼ休みなくずっと僕を見てくださって、もう一度頑張らせてくれました。本当に感謝しかないです。
―リハビリ中の一日はどんなスケジュールですか?
けがした直後と復帰間際では、することも全然違うので一概には言えないですけど…。
朝、ロックアイスベース(練習場)に来て、まずトレーナーさんに見てもらって、リハビリトレーニングをして帰る。その繰り返しをほぼ毎日です。
―リハビリ中にかけてもらった言葉で、印象に残っている言葉はありますか?
言葉は特に覚えてないですけど、「隣に居てくれる」ということが心の支えになりました。

点取り屋マインドはそのままに、ディフェンスもしっかり!
―バスケを始めたきっかけは?
兄と姉が二人ともバスケをしていたので。
―バスケ選手になりたいと思ったのはいつ頃ですか?
高校生くらいかな。バスケが好きなので、これを職にできたらいいなと。その頃はBリーグも始まっていたので、そのコートに立ちたいという憧れもありました。
―そのとき憧れていた選手はいましたか?
馬場雄大さん(長崎ヴェルカ)。馬場さんに憧れて、同じ筑波大学に進みました。
―馬場選手のどういう所に憧れましたか?
長身で脚力も抜群で、スピードを持ち味にしているところ。こういう選手になりたい、目指したいと思っていました。
―馬場選手の他に、いまBリーグでマッチアップしたい選手はいますか?
比江島(慎、宇都宮ブレックス)さんですね。本当に上手だなと思う。昔僕が特指の時に1度だけマッチアップしたことがあるんですけど、それっきりなので。「比江島ステップ」を体感してみたいです。
―大学時代のインタビュー記事でご自身のことを「点を取るキャラ」とおっしゃっていましたが、プロ入りして意識の変化はありましたか?
もちろん得点を取ることは好きですし、それをやめたわけではないですが、チームによって求められることは違うので。千葉ジェッツに関してはやっぱりディフェンスは重要。原さんや田代さんのようなディフェンスのすごい選手がいるので、彼らを目標にディフェンスもしっかり頑張りたいですね。
目標は全試合出場!今年にかける思い
―英会話について聞かれるのはもう飽き飽きされているかもしれないですが…(ごめんなさい)、外国籍選手と話したりされていますか?
最近DJ(ディー・ジェイ・ホグ)とよく話しています。優しいので、僕のためにゆっくり話してくれるんです。もちろんムーン(ジョン・ムーニー)もそうですけど。「けがはどうなんだ?」って毎回必ず具合を聞いてくれるので、「今こんな感じだよ」とか話しています。
DJが少し日本語を話せるので「ひざ、まあまあだよ」とかね。「おはようございます」「おつかれさまです」と日本語であいさつしてくるので、僕もそれに合わせて日本語で。
―外国籍の選手の皆さん、結構積極的に日本語を話すんですね。何か面白い日本語を言ったりしますか?
DJの「まあまあ」の言い方が好きなんですよ、かわいくて。
―二上選手の好きな英語の言葉は?
何それ(笑)。英語わからないのに好きな英語のフレーズとかあったら、逆にキモくないですか(笑)。
あ、でもムーンがよく言うday by day(※)、これが好きかな?
※day by day …(変化が)日ごとに、一日一日

―今シーズンはどんなプレーに注目してほしいですか?
先ほど言ったディフェンス、自分の強みであるスピードを生かしたドライブ、そして3ポイント。その3つを頑張りたいなと思います。
―具体的な目標はありますか?
全試合出たいなと思っています。
得点やプレータイム以上に、毎回元気に出ること。活躍はもちろんしたいですし、自分のやるべきことはやりたいですけど、これまでシーズンを通して出続けたことがない自分にとって、全試合出ることには大きな意味があります。それが自信になりますし、その中で自分の強みを出して、チームに貢献したいと思っています。
―頑張ってください。応援しています!最後にファンの皆さんにメッセージをお願いします。
今シーズンは全てのタイトルを狙いたいです。けがで昨シーズン出られなかった分、今シーズンにかける思いは人一倍強いので、一緒に戦ってほしいなと思っています。ぜひ、ららアリーナに足を運んでください。
―ありがとうございました。
memo「子どもの頃のマイブーム」
幼稚園の頃、なぜかコマにどハマりした時期があったそう。いわゆる日本古来のひもをまいて投げるコマ。一時的にすごく燃えて頑張って練習しましたが、いつのまにか情熱は消滅。以後はバスケ少年まっしぐら!
