どこの国にも属さず、寄付により世界の紛争地や被災地で緊急医療活動するMSF(※)。そこで活躍し10年目を迎えた千葉県出身の真山剛(ごう)さんに話を聞きました。
※MSF… Medecins Sans Frontières の略。ノーベル平和賞を受賞した、民間で非営利の医療・人道援助団体
公開 2025/09/25(最終更新 2025/09/22)

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東京生まれ。月の出ている日は必ず見つけて写真に撮りブログにアップする月大好き人間です。果物を食べながら、「この果物はどうやって生まれてきたのかな?」とすぐ考えるタイプ。ちなみにプロフィール写真は、以前記事作成のために撮影した栗の赤ちゃんです。
記事一覧へ医療が届かない人に役に立てる喜び
東京大学医学部卒業後の研修医時代に東日本大震災の医療援助に参加。
「どんな状況でも、人の命を助けられる救急医になる」と決めた真山さん。
5年の研修を経て資格を取得。
2016年に、イラクからMSFの医師の仕事をスタート。
大変だったのは翌年、2回目の派遣地シリア。

過激派組織「イスラム国」から解放されたものの、まだ地雷や爆弾が残るラッカに市民が戻ると、負傷者が続出。
救急外来施設を設置するや、負傷した市民が次々と運びこまれ、手遅れの人も多い壮絶な現場に。
自身も疲弊し「もうこの仕事は続けられない」と思ったそうです。


ただ、過酷な現場での医師派遣期間は健康ケアのため数カ月のMSF。
任務を解かれた真山さんは中断していたバックパッカーの旅を再開。

初心を取り戻すと、翌年はイラク、19年はイエメンで活動。
20年には、コロナ対策で再びラッカに着任。
復興された街や前回指導した仲間の現地医師たちの成長ぶりに、喜びと力をもらいました。

人の命の大切さはどこでも同じ
派遣のない期間に、今は医師不足の地域で非常勤救急医として勤務。
現在は北海道在住の真山さん。
「僕は安全な日本に生まれ、恵まれた環境に育った。でも、紛争地に生まれ地雷で足を失い、飢餓で死んだ可能性だってある。どこの国、どこの地域でも、人の命の大切さは同じ」と話します。
MSFには、真山さんのように「国境を命の境にしない」と思い働く、医療、非医療系スタッフ約5万人の仲間が世界で活動しているそうです。