地元の歴史を知り、大切にしてほしいと、30年にわたり活動を続けている人がいます。曽谷縄文伝承の会の戸邊笙子(とべ しょうこ)さんに話を聞きました。

公開 2025/10/03(最終更新 2025/09/29)

ちいき新聞ライター

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たまたま縁のあった地元との関わり

遺跡の多い市川市の中でも、曽谷貝塚は日本最大級の馬蹄形貝塚として国の史跡に指定されています。

38年前に越してきた戸邊さんは、その広大な緑地帯を見て「羊でもいるのかな」と思ったそう。

曽谷縄文伝承の会
曽谷貝塚

自治会で「この場所にふさわしい催し物をしよう」と曽谷縄文まつりを開催することになり、たまたま関わったのが伝承の会の活動を始めたきっかけでした。

地元の人間が歴史を知らないことは恥ずかしいと、仲間と共に各地の歴史博物館を巡ったり、資料を集めたりしながら縄文時代について勉強。

編布(あんぎん)(縄文時代の製作技法で編まれた布)を編む工具を手作りし、繊維の原料となるカラムシを栽培して何日もかけて糸を作り、その工具と糸で作品を作ったりしました。

曽谷縄文伝承の会
カラムシ。縄文時代から繊維を採るため広く利用された植物
曽谷縄文伝承の会
カラムシから作った糸。とても細く柔らかい
曽谷縄文伝承の会
編布の工具
曽谷縄文伝承の会
カラムシから作った糸(下段)と編布の作品

こうした素人ながら手の込んだ活動の成果を曽谷縄文まつりで展示し、地元の人たちに伝えてきました。

今も、代替わりしたメンバーたちと編布を一緒に作りながら活動を続けています。

曽谷縄文伝承の会
戸邊さん(左)と伝承の会現メンバー

「今まで続けてきたことが若い人たちにつながっているのが何よりうれしい」と戸邊さん。

歴史知るきっかけとなる縄文まつり

曽谷縄文伝承の会

子どもたちにも地元の歴史に興味を持ってもらえるよう、縄文まつりでは編布コースター作りや勾玉(まがたま)の色付け体験などを行う予定で、現在準備を進めています。

曽谷縄文伝承の会
縄文まつりに向け、勾玉を作る現メンバー
曽谷縄文伝承の会
縄文まつりでは勾玉の模様付け体験ができる。無料。先着300個

会の現メンバーで縄文まつり実行委員でもある柴田素子さんは「地元が歴史ある場所だと知ることで、愛着が湧き誇りにもなる。次世代に伝えていきたい」と話してくれました。

曽谷縄文伝承の会
戸邊さん(右)と柴田さん。柴田さんは日本の歴史や神話が好きで入会したそう

まつりでは他に、市川市歴史博物館による火おこし体験や出土品の展示、ダンスやヒーローショーも行われる予定。

(取材・執筆/松)

曽谷縄文まつり
日時/10月12日(日) 午前9時~午後4時
   ※雨天の場合10月13日(月・祝)に順延
会場/史跡曽谷貝塚
住所/千葉県市川市曽谷2丁目
主催/縄文まつり実行委員会
後援/市川市・市川市教育委員会・市川市社会福祉協議会

問い合わせ
電話番号/080-1289-3732 曽谷縄文伝承の会

曽谷縄文まつりインスタグラム/@jomonfestival_soya