「快眠」とは、毎日1回、十分な時間の睡眠を規則的に取れていて、日中その人らしく過ごせている状態のこと。
そのメカニズムについて専門家に聞きました。
公開 2025/10/22(最終更新 2025/10/20)

睡眠と覚醒のメカニズム
教えてくれたのは、江戸川大学睡眠研究所の山本隆一郎教授。

快眠と聞くと、多くの人が「深く眠れること」や「途中で起きないこと」といった質の良さを思い浮かべるかもしれませんが、質だけでなく量も重要です。
2015年に発表された論文によれば、睡眠健康(快眠)は5つの要素で定義されています(図1)。

脳内では「眠ろう」とする睡眠圧と「起きよう」とする覚醒圧がせめぎ合っています。
睡眠圧は起きている時間が長くなるほど強まり、覚醒圧は「オレキシン」という物質により維持。
オレキシンは外界の刺激や体内の状態によって増減するため、ストレスや環境の変化にも影響を受けます。
脳内の体内時計の役割も重要で、夜に睡眠圧を高め、覚醒圧を抑える働きをします(図2)。

睡眠圧も覚醒圧も加齢とともに弱まるため、高齢者は昼間眠くなりやすく、夜は眠りが浅くなる傾向にあります。
睡眠の乱れがもたらすリスク
快眠には、寝室の環境づくりが欠かせません。
夜は、暗く刺激の少ない寝室空間を心掛けて、朝には自然光が入るようにカーテンなどを工夫しましょう。
寝具や寝装具は個人の好みに合わせ、布団の中が少し暖かく感じる程度が理想です。
忙しい社会人や子育て世代でも実践できる快眠のこつは「毎朝決まった時間に起きる」「日中は活動的に過ごし、昼寝を避ける」こと。
休日に寝だめや昼寝をすると、夜の睡眠が浅くなり、体内時計が乱れてしまいます。
眠れないときは無理に寝ようとせず、一度布団から出て暗い部屋で静かに過ごしてから眠ると、翌日の昼は眠くても夜には強い眠気が訪れ、自然と早く眠れます。
睡眠が乱れると、脳や体のメンテナンス機能が十分に働かず、認知機能の低下(ミスの増加やミスの検出機能の低下)、不安の増大、認知症リスクの上昇、肥満や高血圧、高脂血症リスクの増加、風邪をひきやすくなるといった影響が表れます。
睡眠は心身の健康を支える土台。
自分に合った環境と習慣を見つけ、快眠を手に入れましょう。
寝る前にNGなのは…
明るい照明

特に部屋全体の照明は影響大です
就寝前の食事

胃食道逆流症のリスクあり
長風呂

覚醒してしまいます
スマホ

ショート動画のザッピングや刺激的なコンテンツはNG