※日本人の死因の5位以内に入る疾患…厚生労働省「令和5年(2023)人口動態統計(確定数)」より

肺炎により亡くなる方の多くが65歳以上で、その割合は何と97.8%! 健康寿命を延ばすためには、治療以上に「肺炎にかからないこと」が重要です。

クイズ
日本における、肺炎予防のための肺炎球菌ワクチンの接種率は約何%?
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→答えは本文中にあります

公開 2025/11/22(最終更新 2025/11/17)

編集部 R

編集部 R

「ちいき新聞」編集部所属の編集。人生の大部分は千葉県在住(時々関西)。おとなしく穏やかに見られがちだが、プロ野球シーズンは黄色、Bリーグ開催中は赤に身を包み、一年中何かしらと戦い続けている。

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風邪と肺炎は違う 高齢者は特に注意

超高齢社会が進むにつれ、肺炎で亡くなる人が増えています。

2021年には、肺炎と誤嚥性肺炎(※)を合わせると日本人の死因の第4位に。

老衰や疾患の終末期には肺炎を合併することも多いため、実際にはより多くの人が肺炎で命を落としている可能性があります。

誤嚥性肺炎とは…

飲食物が誤って気管支に入り、それが病原菌とともに肺に達して炎症を起こす病気。食べた時にむせたりする以外に、気づかずに就寝中に起こることも。これを予防するには睡眠時に頭の位置を少し上げておいたり、口腔内を清潔に保ったりするなどの対策が考えられます。

風邪と肺炎の違いは炎症の起こる場所。

風邪は上気道(鼻や喉)、肺炎は下気道(気管支から肺)で起こる疾患です。

肺炎は発症後急激に悪化することもありますが、風邪に似て気づきにくい症状もあります。

息が浅くなる、呼吸が速い、ぐったりする、食欲がないなどの症状は、もともと元気のない高齢者だと見過ごされることも。

このような状態が3、4日続いたら肺炎を疑ってみましょう。

高齢者の肺炎は、薬で治療しても再発を繰り返しやすく生活の質を低下させる負のスパイラルのきっかけに(図1)。

そのため、なるべく肺炎にかからないように予防することが重要です。

肺炎は予防が肝心

どうして肺炎になるのでしょうか?

日常でかかる肺炎は主に細菌やウイルスなどが肺に入ることで起こります。

原因となる病原菌にはさまざまな種類がありますが、最も多いのが肺炎球菌です。

肺炎球菌とは

厚い膜で覆われていて免疫機能が働きにくい細菌。

鼻や喉に存在することもあり、人から人へ、孫から祖父母へ感染することも。

肺炎球菌は人の体内や日常生活の中に存在するので、高齢だったり病気にかかっていたりして抵抗力が弱い状態だと、感染を起こしやすくなります。

そのため、免疫力を高めるために普段から健康的な生活を心掛けることが重要です。

しかし有効な予防法の一つ、ワクチン接種が日本ではあまり進んでいません。

令和3年度の肺炎球菌ワクチン接種率は37.4%。

これは令和6年3月30日までの65歳以上の新型コロナワクチン累積接種率(1〜3回目)90%以上、インフルエンザワクチン接種率55.7%と比較すると低い数字です。

肺炎は予防が肝心

高齢者や、基礎疾患があり発病リスクの高い人は、肺炎予防のために、適切なワクチン接種を受けることを考えてみては。

65歳になる年度の人は定期接種の対象となり、ワクチン接種に公費の補助があります。

肺炎予防の3大ポイント

(1)細菌やウイルスの体内侵入を防ぐ

マスク、手洗い、うがい、歯磨きなどで口の中を清潔に。誤嚥を防ぐ。

肺炎は予防が肝心

(2)体の抵抗力を高める

規則正しい生活、禁煙。もともと持っている病気があれば治療する。

肺炎は予防が肝心

(3)予防接種を受ける。

肺炎球菌ワクチンをはじめ、適切にワクチンを接種。

※予防接種はすべての肺炎を防ぐものではありません。

※この記事は船橋市立医療センター・船橋市西図書館共催による医療講座「肺炎予防とワクチンのお話」(講師/同センター呼吸器内科 中村純氏)を参考に作成しました。

クイズの答え

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