昭和の面影を残す柏市の青山理容。50代で店を引き継いだ菅原さん夫妻は、地域の人々に支えられて営業を続けています。「値上げせずに恩返しを」と語る姿に、夫婦の絆を感じます。
公開 2025/11/17(最終更新 2025/11/14)
周りに助けられて20余年
使い込まれたソファ、ずらりと並ぶ漫画本、存在感のある理容椅子はまるで映画のセットのよう。

窓際に置かれたラジオの音と、シャキシャキと小気味良いはさみの音が響きます。
「昭和の床屋さん」の面影そのままで営業中の青山理容(千葉県柏市今谷上町65-7)。
店主の菅原和夫さん(75)・たか子さん(73)夫妻が50代半ばで友人から店を譲り受けて20余年。
屋号はそのまま引き継ぎましたが、当初は来客ゼロの日も多かったとか。
毎日交代でビラ配りを続けると、その姿を見た近所の人が来店し、二人の人柄と心のこもった接客で固定客も増えていきました。
「周りの方々がいい人ばかりで本当にありがたい」と口をそろえる二人。
和夫さんが病気で入院した時も、周りの励ましに助けられたとのことです。
料金据え置きで地域へ恩返しを
たか子さんは「人との出会いが宝物」と言います。
高齢の夫を亡くした女性が「主人はここに来ることが楽しみでした」とわざわざ報告に来たり、祖母に連れられて来ていた幼子が結婚して自分の子を連れて通うようになったり…。
「この先は、周りに恩返しをしていきたい。特別なことはできませんが、値上げをしないことで貢献できれば」と和夫さん。
お互いのことを「『病気になっても死ぬまで続ける』という前向きな姿勢がすごい」とたか子さん、「誰の話でもちゃんと聞くところが素晴らしい」と和夫さん。

これからも元気に営業を続けてほしいと願わずにはいられません。
