株式会社イシダテック
食品・医薬品業界向けの省力化機械をオーダーメイドで開発・設計・実装する 株式会社イシダテック

公開 2025/12/08(最終更新 2025/12/03)

オーダーメイド機械にAIなどの最新ソリューションを加えた生産方法を提案

食品・医薬品業界向けの省力化機械をオーダーメイドで開発・設計・実装を行うメーカーです。創業以来、原料処理や二次処理、冷却・殺菌、計量・充填、搬送・洗浄などの機械を製造。AIなどの最新技術などと融合し、製造工程の変革を推進しています。イシダテックでは、独自開発のAIを実装したオーダーメイド機械の製作が可能。AIソリューションにより、これまで人の判断に委ねられていたことがAIで判断可能となり、生産工程の省人化・品質向上に貢献しています。

クライアントのためだけの“秘密兵器”を作る

超音波カッター技術を用いた高精度なケーキカット装置や、缶詰用ミカンの製造工程において、外皮を効率よく除去するために導入した湯煮機など、「100人のお客様がいたら、100種の生産システムがある」ことを前提にクライアントの課題を聞き出し、解決に向けて妥協のない機械を設計し、製作しています。カタログ製品は存在せず、クライアントごとに、生産現場に合わせた機械を製作しています。

会社概要

株式会社イシダテック

代表取締役社長 石田 尚(ひさし)
所在地/静岡県焼津市坂本355
電話番号/054-628-6161
従業員数/47名
資本金/1,000万円
創立/1948年
ホームページ/https://www.ishida-tec.co.jp/

株式会社イシダテック

【インタビュー】社会的に意義があるプロジェクトをAIとハードウェアで解決 代表取締役社長 石田 尚さん

株式会社イシダテック

高校の卒業文集を読み初心に返って就職せず院へ

筑波大学の学生時代は、サークルや飲み会なども楽しみつつ、学生のためになる活動をしようと、就職活動支援やさまざまな分野の大学院生に横ぐしを通す団体を作ったり、モバイルデータの分析についての研究を海外で発表したりしていました。大学4年の時に就職活動をし、大手メーカーに内定をいただきました。でも「これで本当にいいんだろうか」と納得できないものを感じ、実家に戻って高校のときの卒業文集を読んだんです。そしたらそこに「留学したい」「専門分野をひとつ見つけたい、だから大学院に行きたい」と書いてあったんですよね。それで思い直し、就職をやめて院に進みました。院を一度休学してアメリカに留学し、経営学を学び、復学後交換留学という形でオーストリアのウィーンに留学してそこでも経営学を学びました。
尊敬する教授の言葉に触発され、「どこでも生きていける人になりたい」と、院を卒業するときの就職活動ではベンチャー企業を選びました。4年弱働き、その後2015年12月にイシダテックに入社しました。会社に入りまずやったことは、それまでの経営層しか知らない情報があるといった情報の偏りをなくしたことです。プロジェクトごとの採算や月次の損益などは1円単位で全社員に公開しています。

株式会社イシダテック

機械でできることは機械で 伝統の味を大切に

当社の魅力は、ひとつの会社で開発・設計・製造が実行できること、AIを始めとしたソフトウェアとハードウェアを両方手がけられることです。テーマは省力化、省人化。「機械でできることは機械で。伝統の味を大切に」を合言葉に、独創的なアイデアに基づく装置を次々と開発してきました。当社の仕事は「響く人には響く仕事」という自負があって、ものづくりが好きな人や自分の作ったものでお客様のお役に立ちたいと考える人には楽しめる仕事だと思っています。
エンジニアにとって最先端の研究に留まらず、社会的に意義があるプロジェクトを自分の手で実施してお客様にありがとうと言われることは当社の強みです。

AIによる選別で人手不足を解消

酒造用原料芋の選別AIの開発

株式会社イシダテック

鹿児島県内で盛んな芋焼酎の製造工程には、大量の原料芋の選別作業が欠かせません。しかし、少子高齢化で作業者の確保が年々困難になっています。そこで選別AIの共同開発と実証実験を実施。AIの評価結果は正解率77.6%と判定され、従来人手で行っていた選別作業のAIによる代替可能性が確認されました。

マグロの非破壊検査装置の開発

脂がよくのったビンチョウマグロの探し方は、従来はマグロの尻尾をのこぎりで切断し、断面を職人が観察する「尾切り判別」という方法でした。時間がかかり全数を検査できないという課題がありました。そこで「ソノファイT-01」を富士通と共同開発。超音波解析AI技術で脂のりを判定することができます。

noteやSNSで発信活動をしています

採用活動に関して情報発信ができておらず、知名度が低いという課題がありました。そこで、「イシダテックをもっと知ってほしい!」という思いからnoteなどの発信活動を始めました。

2021年に始めたnoteでは、社員インタビューや社内のDXプロジェクトの紹介などの記事を公開。軽妙な語り口やマニアックな内容で、スタートから約1年半で総アクセスが11万を超え、好きな記 事に付ける「スキ」の総数は5,000を突破。SNSデータから見る「Z世代の注目企業2022」に選ばれました。

筑波大OB社員に聞く! イシダテックってどんな会社?

日本に今までないものを作ろう! というところに惹かれました

株式会社イシダテック
2020年入社 中田 英輔(えいすけ)さん
事業推進室 エンジニア

スイスの発明家が開発した革新的な技術を日本に導入するため、スイスの会社とジョイントベンチャーを立ち上げたところにエンジニアとして関わりたいと思い、イシダテックに入社を決めました。基本的にはその事業をメインに、事業推進室にて社内のICT周辺や産業用のロボットの推進などの新しい事業を担当しています。

私は筑波大学 理工学群 工学システム学類を2015年に卒業。在学中はロボットサークルに所属しロボットを作っていました。学類では大学院進学が主流ですが、私は就職の道へ。卒業後は保険系IT会社に就職し、システム開発に携わっていました。

イシダテックに入社して感じるのは、個人の裁量が大きいことですね。社長もチャレンジを推奨しているので、挑戦しやすい環境だと感じます。さまざまなバックグラウンドの方が集まっていて、元からいる人や若い年次の方もいて、いいところを出し合いつつ仕事ができていると思います。

イシダテックでは2019年から筑波大学と共同研究を行っており、冷凍カツオの品質検査などについて研究しています。その一環でマレーシア・コタキナバルで開催された国際会議に論文を投稿し、2025年9月に現地で発表してきました。光栄なことにBest Paper Awardもいただきました。そういった努力が報われた瞬間や、装置制御であったりシステム導入において、試行錯誤を経て計画通りに物事が進んだときに達成感を感じます。

事業推進室のメンバーが1年前は2人だったのが今は6人になり、できることが格段に増えました。以前はお客様から相談された直接的な課題を解決することが多かったのですが、例えば焼津漁協さんと一緒に取り組んでいるプロジェクトのように、より地域に貢献できるようなものを手がけることができているので、今後もそのような社会的に意義があるプロジェクトを手がけていきたいですね。

お客様の困りごとを解決できたときの感動はひとしお

2018年入社 藤井 一規(かずき)さん 
事業推進室 AO Group Japan事業セールスマネージャー

私は筑波大学 生命環境学群 生物資源科学部類を卒業し、財閥系の食品商社で、果汁・果実加工品の生産管理・開発輸入を行っていました。そんな時に「ジョイントベンチャー『AO Group Japan』を設立して新規事業を立ち上げるので来ないか?」と石田社長に声をかけてもらい、入社しました。

イシダテックの新規事業は新技術を活用した省人化機械の製造で、私自身も「食品の一次加工には人手がかかる」と強く感じていた課題を解決できるかもしれない、と希望を持てたのも入社動機です。

セールスマネージャーとしての今の仕事は大きく二つありまして、一つはエンドユーザーから今まで市場にないような装置を作ってほしいというご要望にお応えすること。一例を挙げれば「中身を絶対に傷つけずに段ボールを開封する」というご要望です。もう一つは新しいビジネスを創出するということで、自社プロダクトを作り出しそれを売っていこうというものです。

スピード感を持ってオリジナリティがある唯一無二のものを作れることが当社の強みだと思います。それによって困っているお客様の課題を解決できたときの感動はひとしおですね。また、会社が大きくなっているフェーズに立ち会えていることは感慨深いです。

新しい経験や変化を楽しめる人はウェルカムです

株式会社イシダテック
2022年入社 金澤 靖一(せいいち)さん 
取締役 総務部長

私は筑波大学の第三学群社会工学類を卒業し、総合商社グループのICT中核企業の管理部門で働いていました。大学では同期だった石田社長に何度も声をかけてもらい、自分の結婚式でもアプローチを受け、石田社長とともにイシダテックという会社を成長させていきたい、という思いで入社を決めました。

当社グループでは冷凍マグロの非破壊・品質検査装置を提供する「ソノファイ株式会社」というスタートアップを設立したのですが、会社の設立に関われる機会はそうないので、新しい経験ができることは魅力だと思いますね。

イシダテックでは個人の裁量が大きく、いろいろと社内の体制を変えたり、新しいことにチャレンジしたりしているので、変化を楽しめる方が向いていると思います。決まった方法で仕事を続けたいという人には苦痛かもしれないですね。でも、これからの日本は人口減少が進み、デジタル化も進展していき、ロボットやAIにできることは任せて、人間にしかできないことをやっていく必要があると思っています。

経済産業省の「100億宣言」を申請し公表されまして、今後は売上高100億円を目指して企業規模も大きくしていきます。そのために管理部門や組織体制を整えるのが当面の目標ですね。

筑波大学との共同研究を行っています

株式会社イシダテック

筑波大学のシステム情報系知覚拡張システム研究室と継続的に共同研究を行っています。運用中のAIのモデル劣化を検知するシステムなどを共同研究している他、通常のプロジェクトやお客様との会議から派生的に発生する、AIやデジタルなどを含む知覚拡張プロジェクト(人間の能力をマシンによって拡張・補完する)などを研究しています。年に1度、関係者がイシダテック本社のある焼津に集まり、研究開発合宿を行っています。

筑波大学の非常勤講師を務めています

株式会社イシダテック

石田社長は2021年以降、筑波大学工学系の学部生授業「研究・開発/言論」にてゲスト講師を務め、2024年からは非常勤講師として登壇しています。

イシダテックのオーダーメイド装置の開発工程から、事業化におけるエッセンスを航空宇宙開発を担う政府機関の技術成熟度モデルなどに統合して、失敗談なども含めて経験談を語っています。実務の見地から、未来の工学研究者や理系起業家に有用な内容となるように心がけているそうです。

インターン制度もやっています

高等専門学校生や大学生、社会人を対象にインターンを行っています。個人の専攻に合わせた内容で、Pythonを学んでクッキーを1枚ずつ積むように装置を制御したり、CAD操作を学んで製品の設計や加工を行ったりと内容は毎年異なります。

参加した学生からは「自分が作った図面が実際に製品として完成するのは達成感がわいた」「1日中試行錯誤し、集中して仕事をしている人たちを見て社会人のすごさを感じた」などの感想が寄せられています。

本当か確かめたいイシダテックのウワサ

社長がエクストリーム出社をしているらしい

株式会社イシダテック

3時30分起床。ジムに行った後、5時に散髪して山の上の公園でジャーナリング。6時30分に温泉に入り、7時に朝食を取ります。その後海岸に寄り、それから出社。こんな超朝型である社長のエクストリーム出社事情、イシダテックのnoteで読めちゃいます。

1年生を3回経験した社員がいるらしい

写真中央が中田さん

インタビューにも登場してくれた中田さんは大学に入り、自由を満喫しすぎて1年生を3回やることになったそう。3回目で「このまま終わるのはダサい」とようやくエンジンがかかり、先生に頭を下げ、1年生から2年生、そして4年生へワープ進級! 怒涛の追い上げで5年目に卒業ラインに到達できたそうです。