核家族化が進んだことで、住まいへの考え方も変化。家や土地といった不動産の相続も、一昔前とは状況が変わってきています。
※家じまいとは 自宅や実家を整理し、手放すこと。
教えてくれたのは…

司法書士。地元・八千代市を中心に登記などの相談に対応。
公開 2025/12/19(最終更新 2025/12/12)
相続トラブルを未然に防ぐには
親世代と子世代、それぞれで家を所有することが一般的となった現代。
両親が亡くなった後の実家の処分に悩む人も多いようです。
残された子どもの立場と残す親の立場、両者の側面からこの問題を考えてみましょう。
まず子どもの立場でいえば、実家が空き家になってしまったら、売却を考える人がほとんどです。
売却するには、前提として亡くなった方から相続人へ名義を変える必要があるので、司法書士に依頼して相続登記を行います。
不動産の相続は、遺言書があればそれに従うのですが、なければ誰が相続するのか、相続人の間で話し合いをするのが一般的です。
これを「遺産分割協議」といいます。
例えば、相続人に当たる子どもが複数いるケース。
家を相続するのは誰か、そもそも売却でいいのか、売却で得られたお金の配分はどうするのか、などを決定します。
ところが、この話し合いがこじれてしまうことも少なくありません。
「親の介護をしたのだから、優遇されるべきだ」など、金額の大小でなく、感情の面で納得ができないこともあるようです。
相続が「争続」にならないためにも、普段からきょうだいの間で本音を話しておけるといいですね。
ちなみに、相続登記は令和6年4月から義務化されました。
当面売却の予定がなくても、3年以内に相続登記を申請しないと、10万円以下の過料が科される可能性があるのでご注意を。

遺言書の準備が相続問題を防ぐ
親の立場としては、元気なうちに売却して高齢者向け住宅などに入居するのか、自身の死後、配偶者もしくは子どもに相続するかの選択肢が考えられます。
後者の場合は、相続人同士での無用なトラブルを防ぐためにも、遺言書を残しておきたいもの。
また、最近相談が多いのは、自宅以外に所有している不動産について。
地方にある別荘などは、固定資産税などの維持費がかかる上、老朽化が進むほど売却が難しくなります。
欲しい人に安価もしくは無償で譲るなど、早めに手放して身軽にしておくといいでしょう。
なお、相続で取得した土地が不要な場合に国に引き渡すことができる「相続土地国庫帰属制度」が令和5年4月から開始しました。
ただし、建物を解体して更地にする必要がある、審査手数料や負担金などの費用が発生するといったデメリットも。
処分に悩んでいる不動産については、司法書士などの専門家に相談した上で最適な方法を決めておくと安心です。
ここ数年で家族の在り方は多様化しています。
遺産の多い少ないにかかわらず、自身の死後に不本意なもめ事が起こる可能性は多いにあります。
遺族の負担を減らすことは、最後に残せる愛情の印かもしれませんね。
子どもがいない夫婦こそ遺言書の作成を
配偶者は優先的に相続できますが、遺言書がなく、相続登記などの手続きが必要な場合は、相続人全員で「遺産分割協議」を行わなければなりません。
遺産分割協議は、相続人全員が参加します。(下図参照)
例えば、子どもがいない夫婦で夫が高齢で亡くなると、妻が不動産を相続するには、第三順位のきょうだいと協議が必要に。
そのきょうだいも高齢で判断能力が低下していると協議に参加できなかったり、既に亡くなっている場合には、その子ども(おいやめい)に相続の権利が移ったりと、合意をもらうのも困難になります。
一方で遺言書は、遺産分割協議よりも優先されるものです。
遺族に負担をかけないためにも、遺言書を作成しておくことを強くお勧めしています。
