耳が聞こえない、聞こえづらいアスリートによる国際大会デフリンピック。11月の東京大会、女子サッカーの予選と決勝計4試合で2得点を挙げ、初めて日本に銀メダルをもたらしたエースストライカーが船橋市出身の岩渕亜依さん(32)でした。昨年12月上旬、船橋市は岩渕さんに対し「特別功労表彰」を行いました。
公開 2026/01/29(最終更新 2026/01/16)
ソフトボールにも熱中した中高時代
2歳半で生まれながらの高度感音難聴と分かり、母・由貴さんは手話を始めます。
手話サークルさざんかの仲間たちの励ましもあり、亜依さんはすくすくと成長。
三咲小4年の時、サッカーと出合います。


御滝中、市立船橋高では、父の影響でソフトボールに夢中になりました。
高校3年間岩渕さんの担任を務めた市立船橋高の近藤義行さん(現・同校校長)は「うれしい限りです。部活も勉強も掃除も手を抜かず一生懸命。彼女は周囲を引き込むパワーがあります」と特別功労表彰式の会場で語りました。

デフサッカーでさらなる高みへ
サッカーとの再会は筑波技術大学1年の時。
上級生から熱心にデフサッカー東日本選抜への参加を勧められ、7年ぶりにサッカーの試合に出場。
そこから持ち前の才能に人一倍の努力を重ね、デフサッカー女子日本代表、デフフットサル女子日本代表と活動の幅が広がります。
2023年の女子デフフットサルアジア大会ではMVPを獲得しました。

松戸市長からは「船橋市民みんなが岩渕さんのプレーからたくさんの勇気をもらいました」とねぎらいの言葉。
岩渕さんは「今回、デフリンピックで初めて男女ともメダルを取れたのを誇りに思います」と話しました。


(取材・執筆/マット)
岩渕亜依さんメモ
1993年8月24日生まれ、乙女座。身長149cm、体重52kgニックネーム「ブチ」。由来は名字のイワブチ」と、「試合中によくブチ切れる」ことをかけたもの
岩渕亜依さんに聞く
―銀メダルを獲得したお気持ちを聞かせてください
岩渕 金メダルでないのが悔しいですけど、デフサッカーで初めて男女メダルを取れたのが誇りです
―背番号11はエースストライカーの番号ですが、どういう気持ちでそれを背負っていますか?
岩渕 正直、エースストライカーという自覚はないです。点を取って決めるのではなく、チームの勝利のために何ができるかを常に考えています
―試合中のコミュニケーション方法は
岩渕 手話で話している時間はないので、ジェスチャーで。近くの選手とはジェスチャーに加えて声を掛け合うことが多いです
山本典城(よしき)デフサッカー女子監督 補足しますと、デフサッカーでは基本的に選手同士が声で連携することはありません。ブチの場合は、たまたま近くのポジションの選手が補聴器を外しても多少聞こえる選手なので、ブチが大声を出すことがあるのです。選手間のサインはなく、アイコンタクト、ジェスチャー、普段の練習の積み重ねの中で連携を取れるようになりました。ベンチから紙に書いて指示することがありますが、ブチは見ていないことが多いです(笑)
―ありがとうございました