千葉西総合病院心臓血管外科では、2017年5月からロボット支援心臓手術を開始し、2021年2月現在で296例を実施(※)。
執刀医である中村喜次先生に、この手術の特徴について聞きました。
※HPに実績を掲載
http://www.chibanishi-hp.or.jp/pages/link/心臓血管外科実績
日本心臓血管外科学会認定 心臓血管外科専門医
公開 2021/02/22(最終更新 2024/01/11)

術後の回復が早い傾向 美容面で選ぶ人も

この手術の特徴としてまず挙げられるのは、術後の回復が早い傾向にあること。従来の開胸手術では心臓病を治療するためには、胸骨、体の中心で肋骨を一つに束ねている骨を切開しなければなりません。
胸骨は呼吸で上下するので24時間365日動いています。切開は骨折と同様ですから治るまで6週間ほど行動が制限され、現役世代であれば社会復帰が遅くなり、高齢の方なら切開そのものが大きな負担になる可能性があります。
また胸に残る痕(傷)の範囲も大きく、特に女性は美容面で気にする人も。一方ロボット支援手術は胸腔鏡(内視鏡)手術の一種ですので、骨を切ることはなく、4㎝程度の切開となるメインのポートと8㎜程度の穴のみで済むことがほとんど。こうした、傷が小さく体に負担の少ない手術を「低侵襲手術」といいます。
正確性と安全性に配慮 後進の育成も期待
ロボット手術では正確性と安全性の向上が期待できます。
支援ロボットは原則手ブレがなく、鉗子の先端に関節があるので自由度の高い動きが可能です。心臓の弁は五百円玉ほどの大きさで作業はミリ単位ですが、カメラにより拡大された視野は手術の正確性に寄与します。
カメラを動かす間は鉗子がロックされ、鉗子がカメラの範囲から外れたら警告音が鳴るなどの機能も備わっています。また、私(執刀医)が操縦席のモニターで見ているのと同じ映像が、手術室内の他のモニターにも映し出され、その場のスタッフ全員が見ています。
万が一、執刀医が何かを見落としたり、異変があった場合もすぐ発見・フォローできる可能性が高い環境です。そして、執刀医と同じ映像を見られるということは、後進の育成に大いに寄与します。
従来の開胸手術では患部を見ることができるのは執刀医のみですから、これはロボット手術の大きなアドバンテージです。
患者の安全が最優先 最新医療で地域貢献
このように特徴はたくさんありますが、最も大切なのは患者さんの安全です。安全に手術を受けて元気に社会復帰することが第一ですので、従来の開胸手術の方が安全な場合は、そちらを提案いたします。
私たちが目指す地域医療は、どんな体制でも、どんな患者さんでも受け入れることです。今は患者さんが選択する・できる時代ですので、まずはこの東葛地区に、こうした最先端の心臓手術が受けられる病院があることを知っていただき、その上で選んでいただければと思います。
また、当院は総合病院です。例えば、心臓の手術の前には感染予防などの理由で歯科治療が必要ですが、当院なら歯科もあるのでワンストップ。また手術前には全身のCT検査を行うので、その際に他の病気が見つかることも。その場合も総合的にサポートが可能です。
これからも、地域のみなさまのために、質の高い安全な治療を目指して最新技術の提供に取り組んでまいります。なお当院は、ロボット心臓手術関連学会協議会による全国7番目の認定施設です。(2021年1月現在で全国26施設)

千葉西総合病院 オンライン医療講演
ご自宅や好きな場所からご参加いただけるオンライン医療講演です。
質疑応答の時間も設けられています。お気軽にお申し込みを。
3月27日 (土) 10:30~11:15
演題:内視鏡で行う心臓手術
講師:心臓血管外科主任部長 中村 喜次
[定員100名]
参加無料
事前申込制
医療法人沖縄徳洲会 千葉西総合病院
住所/千葉県松戸市金ヶ作107-1
アクセス/新京成線 常盤平駅北口下車 徒歩8分
電話/ 047-384-8111(代表)