本年度から使用される中学美術の千葉県版資料集『美術 表現と鑑賞―想いを形に―』(開隆堂出版)の表紙を担当した山武市在住の芸術家が、作品と創作活動を語りました。

公開 2021/06/03(最終更新 2021/06/03)

プロとしての活動と芸術面で地元貢献も
バルサミコヤスさん(以下バルさん)の肩書は「おもしろアーティスト」。
アクリルと水彩色鉛筆中心の印象的な画風でテレビ番組の美術デザインやアイドルのCDジャケットを手掛ける他、「さんむ田んぼアートプロジェクト」のデザイン、八街市内での個展、山武市の図書館や病院へのカラフルな壁画提供など、地元に表現の楽しさを届け続けています。
思いがけない「出あい」未来につながる
バルさんはある時、仕事であった出版社の編集者から偶然に資料集全面改訂の話を聞き、名刺と作品集を渡して「ぜひ表紙を担当させて」と熱意を伝えました。
すると、千葉に密着・特化した若手現代アーティストを探していた編集者から、後日正式に依頼が。
知り合いに「教科書に載るような人になりたい」と話した時期から約1年後の出来事で、「人に伝えていたら夢がかなった」と驚きます。
表紙になったコラージュの作品名は「邂逅」で、人物や芸術、思想などとの思いがけない出あいを指します。

作品に菜の花や藍染め、寺院、イワシなど千葉ゆかりのモチーフを散りばめ「歴史を織り込む」ことをイメージし、「これからもあなたにいろんな出来事や人との『出あい』を大切にしてほしい」と思いを込めました。
バルさん自身、さまざまな偶然の出あいが今の活動につながっています。
「中学生の頃は『これは将来のために、何か意味があることなのかな』などと悩みがち。でも、やったことも、やらなかったことも、全てに意味があったと気付ける日が来ます。そんな今を大切にしてほしいです」
今後のつながりを想定した作品作り
今後は機会があれば中学校に出向いて生徒と交流したいといいます。
「学校で使っている資料集に載っている人物が目の前に現れたら、すごく驚きませんか? 豊富な経験からたくさん吸収する中学生の時期に、印象的な『邂逅』を提供したい。大人になっても懐かしく思い出してほしいです」と語っていました。(取材・執筆/奥山)