【千葉市】アンティークと人をつなぐ「うつわアダン」見に行くだけでも癒しになります

巷ではあまり見かけないアンティークショップが、千葉駅の近くにありました。店名は「うつわアダン」ですが、うつわ以上にアンティーク雑貨を多く取り扱っているお店です。

扱っている商品は高価なものですが、「ただお店の商品を見にいらっしゃるだけでもいいんですよ」と店主の吉田さんは微笑みながら言います。アンティークに興味のある方、興味はあるけれどハードルが高いと感じている方にぜひ知っていただきたいお店です。

公開 2021/10/21(最終更新 2023/12/26)

梶原 よんり

梶原 よんり

大学卒業後、旅行会社の広報部に就職するもライターの夢を追いかけるために退職。現在は雑誌や新聞など各種媒体で執筆中。2019ポートクイーン千葉としても活動している。 ★instagram★ https://21/www.instagram.com/yonri.kajiwara/

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隠れ家だけれど、実は好立地

場所は千葉そごうから徒歩7分ほど。JR千葉駅からも、京成千葉駅からも徒歩圏内です。ナビに従って歩くと、赤いレンガの建物を発見します。

【千葉市】アンティークと人をつなぐ「うつわアダン」見に行くだけでも癒しになります
(画像提供:うつわアダン)

あれ?ここがお店なの?

一見分かりづらいのですが、2階を見上げると窓ガラス越しに器らしきものが見えました。

【千葉市】アンティークと人をつなぐ「うつわアダン」見に行くだけでも癒しになります
(画像提供:うつわアダン)
階段を上るとお店の入り口と対面

見出しに書いた通り隠れ家のようなお店で、見つけた時の達成感はひとしおです。

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(画像提供:うつわアダン)

店名「うつわアダン」の「アダン」の由来は木の名前です。アダンという木は、すべてが道具になる力強い木。道具として長く使えるアンティークの良さが表現されている店名ですよね。

アンティーク店というとちょっと入りづらいイメージがありました。取材とはいえ緊張をしていた私に「緊張しなくても大丈夫です。実際に手に取って見てくれたらうれしいです」と吉田さんがやさしく声をかけてくれました。温かいお方です!

お客さまに自由に心置きなく空間を楽しんでもらうため、吉田さんは あえて声をかけないようにしているそうです。「本当はいろいろお話ししたくなっちゃうんですけどね(笑)」と思いながらも、コミュニケーションはあいさつ程度に留めているのだとか。

「お話ししてしまうと、何も買わずにお店を出づらいじゃないですか」と話す一方で、「でも、もしお声かけいただけたら、私、おしゃべりなので喜んでお話します(笑)」とも。静かに商品を見たい方も、いろいろ質問して見たい方も、購入する方も、しない方も、吉田さんは歓迎しているのが伝わりました。

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(画像提供:うつわアダン)

アンティークは吉田さんが厳選したものを販売。

「知っている方には良さが分かっていただけます。それに、長く使えますよ」と魅力を教えてくれました。

アンティーク商品は手仕事のものを揃えており、材料ひとつとっても質が非常に高く、技術もこれまた高いのだとか。これを現代で作ろうとしても、簡単には作れないそうです。

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それでは、店内で取り扱っている商品の一部を紹介していきます。

※取材時(2021年9月)から商品のラインナップが変わることもあります。ご了承くださいませ。

ドイツのビンテージガラス

まず初めに紹介するのは、1930年〜50年代にドイツで生まれた耐熱ガラス。

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(画像提供:うつわアダン)

当時から耐熱のガラスがあったことにも驚きますし、何十年もの時を経て今でも良い状態が保たれていることにも驚きます。相当質が高いのでしょう。

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(画像提供:うつわアダン)

繊細な見た目以上に頑丈です。驚くことに、カーペットの上でなら落としても割れないといいます。

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(画像提供:うつわアダン)

目を凝らして見てみると、持ち手の形や色、深さ浅さ、ひとつひとつが異なります。姿形が揃っている器が良いとされる現代では、このように個体差がある商品はむしろ魅力のひとつでしょう。アンティークならではの良さが光っています。

イギリスのシルバー製品

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(画像提供:うつわアダン)

シルバー製品といえば、イギリスが有名です。

うつわアダンにあるシルバー製品は金属と感じさせないほど薄いため、料理の温度がそのまま伝わります。特有の金属臭もなく、いつもの料理がワンランクおいしくなりそうですね。

シルバー製品は、メッキの上から銀を塗っているものと、スターリングシルバー(銀の含有率が92.5%のもの)の2種類に分けられています。銀の含有量が多いのは、いわずもがなスターリングシルバーです。

市販品はほとんどが銀メッキのものですが、うつわアダンではスターリングシルバーを多めに揃えています。とても貴重です。

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(画像提供:うつわアダン)

さらに貴重なのが、使いやすいシンプルなデザイン。

巷で流通しているアンティークのシルバー製品は凝ったデザインのものが多く、普段使いしやすいシンプルなデザインのものが少なくなっているのが現状です。というのも、4、5年前に銀の価値が高くなった影響でシンプルなデザインのシルバー製品が大量に溶かされてしまったから。

それにもかかわらず、シンプルなデザインの(しかも)スターリングシルバーの製品を揃えているうつわアダンは実に珍しいのです。

「銀はそのまま財産になりますので」と吉田さん。資産として手に入れる選択肢もありますね。

ピューター(銀皿)

ピューターというお皿はご存知でしょうか?

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昔、ヨーロッパ各国の庶民は「ピューター」という銀皿で食事をしていました。時代は巡り巡って、現代の日本でもじわじわとピューターが有名になってきているそうです。

「今ではポピュラーな商品なので、厳選したものを揃えています」と吉田さん。毎日使っても長持ちする良質なピューターのみ販売しています。

やはり流行は繰り返すのでしょうか。むしろ今っぽいな、と感じるピューター。こちらでナポリタンやカレー、オムライスなどの洋食を食べたら老舗のレストラン気分が楽しめる気がします。中華も合いそうですね。料理を選ばずにたくさん使えそうなデザインと素材に惹かれます。

ブローチ

ショーケースの中には、高級感溢れるブローチが陳列されています。ヨーロッパの貴族の女性が身に付けていたブローチかと思いきや、実は男性が懐中時計に付けるアクセサリーでした。

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今どのように使うかはあなた次第。洋服を彩るブローチとしても使えます。秋冬は無地のセーターやコートに合わせてみてもオシャレです。ペンダントトップにするのもいいですね。

ユニークな赤ちゃんのガラガラおもちゃもご紹介。

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手に取って振ると、ちゃんとガラガラと音がします。時を経ても機能は健在でした。もちろん、そのまま赤ちゃんのおもちゃとしても使えますが、キーチャームとしてもぴったりです。

当時作られた用途通りに使うことはなくても、吉田さんが新たな使い方を提案してくれるのが楽しかったです。一見、「何に使うのかな?」と思うものでも、気になったらぜひ吉田さんに聞いてみてくださいね!

有名画家 藤田嗣治さんの絵本

かの有名な画家、藤田嗣治(ふじた つぐはる)さんの絵本をページごとに販売しています。なるほど、絵本もアンティークになるのですね。

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1965年発行の藤田嗣治さんの絵本。アメリカの詩人さんが書いた詩の隣にイラストを描いています。

こちらの本は大変価値が高く、今手に入れようとすると1冊25万円ほどします。それが1枚1万円以下(挿絵の大きさなどによって変動)で購入できるので結構リーズナブル。希望者にはお勧めの額装屋を吉田さんが紹介してくれます。
「額装をすると、絵本の1ページとして見るのとはまた違った作品に生まれ変わります」と吉田さんは目を輝かせます。

絵画はハードルが高いという方も、絵本の1ページなら挑戦しやすいですよね。
毎日の生活に美術品を取り入れてみてはいかがでしょうか?

アンティークと人をつなげる場所

吉田さんは取材中に「楽しい」と何度も口にしていました。「今が一番楽しいです」とも。心の底から「うつわアダン」での仕事を楽しんでいることがうかがえます。

【千葉市】アンティークと人をつなぐ「うつわアダン」見に行くだけでも癒しになります

今年で18年目になるお店のスタートは、期間限定店舗からでした。

今はなき、千葉の三越近くに期間限定でお店をオープンできる機会があったため、「とりあえず何かできることを始めようかな」と、気軽な気持ちで器屋さんをオープン。2年間営業したのちに、この地に移転しました。

最初は静かに商品を見ていたお客さまも、徐々に吉田さんから商品の魅力を聞くようになり、アンティークの良さに魅了されていく方が多いそうです。そんなお客さまとは、どのような商品が希望か伺ったり、現在取り扱っている商品を伝えたりして、いろいろな注文をいただくのだとか。ゆっくりと時間をかけてアンティークの魅力に気づいていく過程こそ、贅沢な時間だと感じます。

【千葉市】アンティークと人をつなぐ「うつわアダン」見に行くだけでも癒しになります

「どこかで誰かが大事にしたものをつないで生かしていくのがアンティークの醍醐味です。アンティークは値段が張りますが、それは『保管料』という考え方もあります」
と吉田さんは言います。そのように聞くと、高価であることも納得できます。

ですが、吉田さんは決してお客さまに購入を押し付けずに、アンティークとの触れ合いを歓迎しています。アンティークはハードルが高いものだと思っていましたが、うつわアダンは多くの人に扉が広く開かれていました。

うつわアダン
営業時間/11:00~17:00
定休日/日曜、月曜(不定休あり)
電話番号/ 043-247-7479
住所/千葉市中央区登戸1丁目1-9
アクセス/JR「千葉駅」西口から徒歩5分、京成線「京成千葉駅」東口から徒歩6分