館山市出身の須田貢正さんは、現在は長野県中川村に移住し、大好きな蜂と共生して暮らす詩人で写真家、そして陶芸家です。
その須田さんにアシナガバチの不思議な生活について聞いてみました。

写真提供:須田貢正『草刈りをするハチ』『巣づくりの名人スズメバチ』(六耀社)から
公開 2021/10/23(最終更新 2022/07/28)

F
東京生まれ。月の出ている日は必ず見つけて写真に撮りブログにアップする月大好き人間です。果物を食べながら、「この果物はどうやって生まれてきたのかな?」とすぐ考えるタイプ。ちなみにプロフィール写真は、以前記事作成のために撮影した栗の赤ちゃんです。
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のぞき見ると広がる蜂の不思議な世界
アシナガバチは、野菜に付く青虫を食べてくれる益虫で、脅かさなければ攻撃しません。
しかし刺される恐怖から、その生活を観察してみる人は少ないでしょう。
末っ子でいじめられっ子だった須田さんには、「蜂は小さくても強い。憧れの存在」でした。
注射は嫌いでしたが、たとえ刺されても蜂は大好き。
家に持ち込み観察に夢中になったといいます。
20代で詩が雑誌に次々と掲載され、「旅の途の風に」は混声合唱組曲の歌詞となり、全国の合唱団に歌われてきました。
30代で蜂の写真を撮り始めると「ニッコールフォトコンテスト」で認められ、蜂の命への賛歌の詩と共に、写真集『ハチのうた』となりました。
最近も『草刈りをするハチ』、小学校の教科書で推薦図書になった『巣づくりの名人スズメバチ』と、蜂の本2冊が出版されました。
「蜂たちにも敵や悲劇が襲い掛かり、写真のように大きな巣になれるのは極めて少数。順調に見えても、人間のように、そこには幾多の困難や喜びのドラマがある」と語る須田さん。
その優しい目を借りて、蜂の世界をまずは須田さんの写真から、ちょっとだけのぞかせてもらいましょう。
怖い蜂にも尊い命の輝きがあふれているのが見えてくるでしょう。(取材・執筆/F)
アシナガバチの一生
(1)1匹で頑張る女王蜂
冬を生き残った女王蜂は、春に目を覚ますと花の蜜を吸って体力を付け、たった1匹で巣作りを始めます。
(2)卵や幼虫を雨や暑さから守る

働き蜂は全てがメス。
雨水や夏の暑さから巣を守るために、水を吸い取ったり、羽を震わせて風を送ったりと忙しいです。
(3)敵を警戒する働き蜂
働き蜂の活躍により、女王蜂は産卵に専念できます。
巣穴を増やし大きくするのも、餌運びをするのも働き蜂の仕事です。
(4)新女王になるメス蜂とオス蜂が生まれて

夏が去る頃、女王蜂は新女王になるメス蜂とオス蜂を産むと死にます。
メス蜂とオス蜂が交尾を終える頃には、働き蜂もオス蜂も死に絶えます。
そして、残ったメス蜂たちだけが冬眠して、女王になる春を待ちます。
注意!アシナガバチと違って危険なスズメバチ

アシナガバチに比べて攻撃的で危険性が高いスズメバチ。
両者は作る巣の形に大きな違いがあります。