東武野田線江戸川台駅西口から運河駅方面へ歩いて3分、西浦眼科の外壁を彩る巨大陶壁「光の館」が目に飛び込んできます。
圧倒的な存在感を放つ陶壁は線路沿いにあり、車窓からも眺められます。

公開 2021/10/27(最終更新 2021/10/26)

ハレー彗星をモチーフに35年前に制作
この陶壁は、西浦慶子院長の義父であり陶芸家の九谷興子氏(享年87歳)が、開院のお祝いを込めて1986年に制作したもの。
眼科だけに作品のモチーフは目玉かと思いきや、76年ぶりの接近で当時話題になっていたハレー彗星からヒントを得たといいます。
上部に描いた彗星から飛び散った滴により命が吹き込まれ、花が咲き、チョウが舞います。
宇宙空間にさまざまなものが誕生したことを表現した生命力あふれる作品です。
高さ7m・幅6mもあり、原画は九谷氏の故郷・石川県加賀市に立つアトリエにやぐらを組んで描き、パーツとなる陶器は土をこね、ろくろを回し、窯で焼き上げ一つずつ制作。

最後は江戸川台へ運び、位置をチェックしながら貼り付け、左官屋さんと二人三脚で仕上げました。
原画を描くだけで4カ月、完成まで1年以上を要した大作です。
西浦院長は、「どこにそんなパワーがあるのか、制作時はものすごいエネルギーを感じました。今日も作品から発せられるパワーに力をもらっています」と話します。

70歳で陶壁へ挑戦 光の館は75歳で作陶
若い頃から絵画の創作や築窯に情熱を注いできた九谷氏は、1976年に日米文化振興会賞を受賞。
日本だけでなく、ミュンヘンやウィーンなど海外5都市の美術館や画廊で個展も開催しました。
さらに陶器「黄金の腕」で内閣総理大臣賞を、陶画「女たち」で文部大臣賞を受賞するなど、数々の実績を持ちます。
他にも寺の扉絵や着物のデザインを手掛けるなど作品の幅は広く、なんと70歳で巨大陶壁へ挑戦。
ホテルや学校、病院などに12作品を残したというから驚きです。
九谷興子オフィシャルウェブサイトでは、陶壁の制作風景や多岐にわたる作品を見ることができます。(取材・執筆/琉)