日本の都市ガスは、現在輸入されたLNG(液化天然ガス)を主原料としていますが、何と千葉県には天然ガスを採取し、同時にヨウ素も取り出している地域があります。
取材協力/関東天然瓦斯開発株式会社

公開 2021/11/08(最終更新 2022/07/28)

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東京生まれ。月の出ている日は必ず見つけて写真に撮りブログにアップする月大好き人間です。果物を食べながら、「この果物はどうやって生まれてきたのかな?」とすぐ考えるタイプ。ちなみにプロフィール写真は、以前記事作成のために撮影した栗の赤ちゃんです。
記事一覧へ泡を含んだ不思議な茶褐色の水
1891年に大多喜町で、掘った井戸から茶褐色の水と共に天然ガスが発見されました。

以来ずっと使われ続けている千葉県の水溶性天然ガス。
茶褐色の水の正体は、約300万年から40万年前に海底に堆積した泥の中で微生物が作ったメタンガスが、地層中で「かん水」(太古の海水)に溶けたもの。
現在は茂原市を中心とした九十九里沿岸地域で採取されていますが、実は千葉県を中心とする南関東一帯に広がり、何とわれわれの足の下にもガス田が存在しているといいます。
「南関東ガス田」(図1)と呼ばれ、以前には東京でも盛んに採取された時期があったそうです。
産出される天然ガスは、無色・無臭。
ほぼ不純物を含まずメタン99%なので、そのまま使用できます。
そのため、九十九里周辺では自宅でガス井戸を掘り使用する家もあるというから驚きです。
そばの川面ではメタンが泡となって湧き上がるのが日常風景として見られ、大地のエネルギーを身近に体感できます。
千葉県の天然ガス生産量は、国内第2位。
都市ガス用にはガス漏れ発見のため臭いをつけて産地周辺を中心に供給され、地産地消されています。
世界の4分の1のヨウ素は千葉県産
さらに注目すべきなのが、ヨウ素の生産です。
「かん水」には、海水の2千倍もの高濃度でヨウ素が含有されていることから、大事なヨウ素の供給源ともなっています。

ヨウ素は、強い殺菌性、X線を遮る、光の偏向性制御などの特徴から、うがい薬、X線造影剤、液晶製品の偏向フィルターと、現代の生活に欠かせない貴重な天然資源です。
千葉県は、世界の約4分の1のヨウ素を生産し、欧米など世界各地に輸出しています。
今度うがい薬を使う時は、中に含まれる太古からの恵みである、ヨウ素のことや、自分の足元に眠る天然ガス田のことを思い出してみましょう。