「最後までこのメンバーで走りたかった」̶̶
大会を振り返り、選手たちは誇らしく語ります。
男子4×100mリレーで、この夏「第48回全日本中学校陸上競技選手権大会」に出場、8位入賞を果たした印西市立木刈中学校陸上部。
その陰には、感染症流行に翻弄された忍耐の時間を経て、固く結ばれた信頼の絆がありました。

公開 2021/12/04(最終更新 2021/12/02)

励んだ体力づくり つかむ全国への切符
感染症の影響で、中学校も昨年から大きく活動が制限されてきました。
今年も引き続き、思うように練習ができない状況の中、選手たちはどのように過ごしてきたのでしょうか。
「種目関係なく、選手間で競争を目的としたインターバルトレーニングなどを行った他、それぞれが自主練を重ねてきました」と話すのは、陸上部の顧問の増淵草太さん。
体づくりに重きを置き、1年前より10キロ体重を増やしてきた選手も。
その成果もあり、6月末に行われた「全日本中学校通信陸上競技大会千葉県大会」では全国大会への切符をつかむも、翌月の大会で選手の一人が競技中にけがを負いました。
この時点ですでに、全国大会まで1カ月を切っていました。
「約束」で走り抜く 後世につなぐバトン
仲間を思うがゆえに、選手たちの葛藤は大きかったそうです。
そして、全員で出した答えは、「最後までこのメンバーで走ろう」という、固い「約束」でした。
リレーの肝となるバトンパスは、受け取る側の方が格段に難しいといいます。
また、個性を見極めて配置される走順は奥が深い。
スタートの技術に優れ、努力家で責任感のある青栁理仁さん(3年)が第一走者を。
次に、一番の走力を求められる「エース区間」の第二走者を、走りにひたむきな大久保芯馬さん(2年)が続きます。
カーブでの難しいバトン受け渡しを担う、器用さが試される第三走者に、ムードメーカーの瀧井悠斗さん(3年)が。
アンカーは、最後の競り合いにも負けない、実力とその強靭なメンタル力に託されての、キャプテン・小出秀政さん(3年)。
また、補欠で控えた2年生の神崎由空さんと藤波空翼さんも、常にできることを考え、力を蓄えつつ全国に挑む選手をサポートし続けました。
「みんな普通の中学生なんですよ。縁あって集まった子どもたちと、貴重な経験をさせてもらいました。保護者、チームメイト、そして卒業生など、たくさんの人の支えがあっての結果ですね」、と増淵さん。
胸を打つドラマの陰に、汗にまみれた努力があります。
陸上部がつないできたバトンは、ここに輝かしく後輩たちへ受け継がれます。